第64回 日本生化学会 近畿支部例会

開催のご案内

ご挨拶

 このたび、2017年5月27日(土)に大阪大学豊中キャンパスにおいて、第64回日本生化学会近畿支部例会を開催させていただくことになりました。本例会は大阪大学蛋白質研究所から支援を受けた共催になります。

 本例会のテーマとして、「たんぱく質を究める」を掲げました。たんぱく質は生命現象の中心を担う分子の一つであり、生化学研究における重要性は言うまでもありません。生化学の一分野であった分子生物学が20世紀後半に大きく発展して、生命科学に大きな変化をもたらしました。ヒトゲノム解読がその始まりを告げたとも言える21世紀に入って、次世代シークエンス技術、iPS細胞技術、ゲノム編集技術という超弩級の技術革新の波が次々と生命科学に押し寄せてきました。さらに、癌医学の分野でも免疫療法によるがん治療という大きなパラダイムシフトが起きています。私が医化学教室という生化学の伝統を汲む研究室の大学院生として研究を開始した1980年代末には、まったく想像もつかなかった技術革新の数々です。このような分子生物学やゲノムバイオロジーを中心とした生命科学の著しい発展の中で、以前は生命科学の中心的な学問分野であった生化学は難しい立ち位置を強いられていると言っても過言ではないでしょう。
 現代における生化学は、従来の「生物の構成物質および化学反応を解明して、生命現象のブラックボックスを解明する学問」という重要な側面を保持しつつ、ゲノムバイオロジーやiPS細胞技術などによる組織や生体の作出や改変といった革新的技術を実現するためのパートナーとしての学問分野という位置づけも必要になってくると考えられます。しかし、上記の技術革新の影響が一段落し、学問、医療、産業としてさらなる発展が望まれる段階では、たんぱく質、糖、脂質をはじめとする生体における実際の構成分子や酵素などの生体反応を直接の研究対象とする生化学こそが、極めて大きな役割を果たすのではないでしょうか。本例会では、皆さんが生化学という分野のこれからの方向性について考える良い機会となれば幸いです。

 本例会では、日本の生化学を牽引する3人の先生と蛋白質研究所の研究者達によるたんぱく質を究める特別講演ならびにシンポジウムを予定しております。また例会前日の5月26日(金)には、千里中央の千里ライフサイエンスセンターにおいてテクニカルセミナーを開催いたします。これらの中で若い研究者達が色々と学んでいただくとともに、例会の特徴でありますアットホームな雰囲気の中での情報交換や議論を活発に行っていただくことを強く願っております。

 関係者一同、近畿地区の研究者の皆さまのご参加を心よりお待ちしております。

第64回日本生化学会近畿支部例会
例会長  古川 貴久
(大阪大学 蛋白質研究所 教授)