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教育講演（EL）

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教育講演01

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ゲーム障害・ネット依存の現状と治療
ー学校現場との連携ー

講師：樋口進
独立行政法人国立病院機構久里浜医療センター

概要

ネット・ゲーム依存は思春期に好発する。10-29歳でゲーム依存が疑われる者の割合は5.1%と推計されている。依存の症状として、ネット・ゲームの過剰使用に加えて、それに起因する様々な問題行動や健康問題が見られる。心の病気の合併率も高い。特に注意欠如・多動症は合併率が最も高く、治療を困難にしている。様々な心理療法や環境療法が行われているが、認知行動療法の治療エビデンスが最も豊富である。心の病気の合併例では薬物治療も試されている。現時点で医療と学校との連携は十分ではない。今後、学校現場での実態把握と対策の推進が望まれる。また、医療と教育関係者の連携の促進や人材育成が期待される。

【略歴】
国立病院機構久里浜医療センター名誉院長, WHO物質使用・嗜癖行動研究研修協力センター長。1979年東北大学医学部卒。米国立保健研究所留学、久里浜医療センター副院長、院長を経て現在に至る。
【委員等】
WHO専門家諮問委員、内閣官房ギャンブル等依存症対策推進関係者会議会長など委員多数。
【学会等】
国際アルコール医学生物学会前理事長、国際行動嗜癖研究学会理事、アジア太平洋アルコール・嗜癖研究学会理事・事務局長、日本アルコール関連問題学会前理事長など。
【ネット・ゲーム依存関連】
2011年7月にわが国で最初にネット依存専門診療を始めて現在に至る。ゲーム行動症の疾病化・ガイドライン作成等に関して、WHOに全面的に協力してきている。

教育講演02

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ライフステージから見た保育
－学校現場とつなぐ－

講師：田中康雄
こころとそだちのクリニックむすびめ

概要

「いわゆる発達障害」と思われる子どもたちが，「多様な子」の一人となるためには，生活しやすいような環境提供に腐心し，わかりやすい関わりをすることである。そのためには，その子の思いに寄り添うだけでなく，その子にある違いの理由にも出来る範囲で理解をし，その子を育んでいる親の喜びと苦悩にも寄り添う必要がある。
　学校現場につなぐためには，そこにあるつながりやすさ，つながりにくさに向き合い，保育現場の方の子どもと親とのつながり具合を，第三者的に把握する必要がある。
最後にその「つながり具合」というバトンを，どのように学校現場に手渡すかを検討する必要がある。

【略歴】
精神科医，臨床心理士
1983年に獨協医科大学医学部卒業後，旭川医科大学　精神科神経科，研修医，医員を経て道内の精神科病院で仕事をし，2002年より国立精神・神経センター精神保健研究所，児童・思春期精神保健部児童期精神保健研究室長を経て2004年より北海道大学大学院教育学研究院教授，2006年より北海道大学大学院教育学研究科附属子ども発達臨床研究センター教授，２０１２年４月に退職し北海道大学名誉教授，５月より医療法人社団倭会　こころとそだちのクリニック　むすびめを開院し院長として現在に至る。

教育講演03

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発達障害の二次的・三次的障害である非行・犯罪をいかにして防ぐか

講師：桝屋二郎
東京医科大学　精神医学分野

概要

疫学調査などからは「発達障害を有することが直接的に非行や犯罪などの攻撃的行動や反社会的行動の危険因子となるわけではないものの、障害特性、置かれた環境や周囲の関わりの不適切さ、そういった多因子の複合が生じると、攻撃的行動や反社会的行動が発露するリスクが存在している」ことを示唆している。発達障害者の起こす非行や犯罪は二次障害とは言えず、周囲の不適切な対応が引き起こした三次障害・四次障害とも言うべきである。その背景と予防策を提示してみたい。

【略歴】
・東京医科大学精神医学分野、東京医科大学病院こどものこころ診療部門　准教授
・ふくしま子どもの心のケアセンター顧問
・法務省非常勤矯正医官
・日本精神神経学会代議員、日本トラウマティックストレス学会理事、こどもいじめ防止学会理事、日本司法精神医学会代議員、日本小児精神神経学会代議員、日本不安症学会評議員、日本神経精神薬理学会評議員

教育講演04

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感覚統合理論から子どもの発達支援を考える
子どもの豊かな学びと成長を願って

講師：土田玲子
NPO法人なごみの杜

概要

感覚統合理論は、作業療法士のみならず、保護者、教育関係者等にとっても子どもの育ちを考える上で多くの示唆に富む理論であると考える。そこで本講演では、まずこの理論を理解するために必要な基礎的な感覚系の役割と感覚統合の発達パターンを簡単に紹介した上で、この理論から学べることを①人間行動の神経生物学的理解から来る個人内差とスペクトラムの人間観、知能観、②発達の基盤としての感覚運動活動の重視、③子どもに対する関わり方の原則として、「能動性」「意欲」「楽しさ」「成功体験」の重視、の観点を説明し、最後にこの考え方を活かした実践例として、通級指導教室の例を１つ簡単に紹介する。

【略歴】
1978年にアメリカ合衆国フロリダ大学健康科学修士過程を卒業。帰国後、日本感覚統合学会の前身である日本感覚統合障害研究会の設立に関わり、2002年より会長となり現在に至る。同時に長崎大学、県立広島大学等で教鞭を取る傍ら、発達障害等がある子ども達の啓発、支援活動に取り組む。1989年に在外研究員として、アリゾナ州フェニックス市にある神経発達研究所に文部科学省より派遣される。2004年にNPO法人なごみの杜を保護者達と共に設立し、現在代表理事として活動している。作業療法士。特別支援教育士SV。

教育講演05

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ICTを用いた算数困難の支援
―A single task at a time―

講師：河村暁
福岡教育大学

概要

近年、算数困難や算数障害に関する研究が拡大しており支援方法にも注目が集まっている。本講演では算数の学習に著しい困難のある子どもに作成したICTを用いた支援方法について説明する。
基礎的な数概念・知識、計算、問題解決の学習に求められるマルチタスクをシングルタスク化し、学習を行うようなコンピュータ教材を紹介する。
今後、子どもの認知特性に応じたICTを用いた支援方法が広がることが望ましい。

【略歴】
福岡教育大学大学院、筑波大学大学院修了。
民間支援機関発達ルームそらの運営に携わり、2021年より広島文化学園大学、2023年より福岡教育大学に着任。

教育講演06

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発達障害児者のきょうだい
－そのWell-Being支援の実際と課題－

講師：阿部美穂子
山梨県立大学

概要

本講演では、以下の3つの点から、きょうだい支援の実際と課題について検討する。
1点目に、きょうだいが直面する特有の悩みや発達上の課題を整理するとともに、きょうだいを育てる親が抱える悩みについても明らかにし、家族全体の視点からその支援ニーズを探る。
2点目に、海外における代表的なきょうだいのための支援プログラムの実際を紹介し、加えて、筆者らが開発した、きょうだいと家族を対象とした家族関係促進のための支援プログラムについてその内容と実践の成果を明らかにする。
3点目に、家族ＱＯＬの観点からきょうだいとその家族が抱える今日的な課題を検討し、きょうだいに対する日常的で身近な支援のあり方について提案する。

【略歴】
山梨県立大学教授
博士（教育学）
　公認心理師　臨床心理士　臨床発達心理士　ムーブメント教育・療法士
　特別支援学校教員、富山県教育センター研究主事、富山大学准教授、北海道教育大学教授を経て2019年4月より現職
（一社）日本きょうだい福祉協会理事
　2010年より家族QOLの視点から、障害のある子どものきょうだいと家族のための支援プログラム開発研究に取り組んできている。2019年 IASSIDD World Congressにおいて、本研究に関するPoster Awardを受賞
　主な著作
　「障害のある子どものきょうだい支援プログラム開発に関する実践的研究」多賀出版　2019　単著
　「よくわかるインクルーシブ保育」ミネルヴァ書房　2020　共編著
　「実践！ムーブメント教育・療法」クリエイツかもがわ　2023　編著

教育講演07

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発達障害のある大学生の修学支援
―支援におけるアセスメントの重要性―

講師：高橋知音
信州大学

概要

この教育講演では、学修困難を生じさせる要因の中でも、とくに読み書き困難を生じさせるさまざまな背景要因を理解し、アセスメントの結果から効果的な学修支援、合理的配慮を提案できるようになることを目標とする。背景要因には、全般的能力、遂行機能、注意、言語能力、視機能、視覚認知、聴覚情報処理、運動機能、自閉スペクトラム症（ASD）関連の障害、脳損傷などを含む。背景要因によって効果的な支援の内容は異なってくるため、アセスメントは不可欠である。機能障害があれば、合理的配慮の提供も検討する。学生の状況を多面的に理解し、学修のみ、メンタル面のみの支援とならないように支援することが重要である。

【略歴】
信州大学学術研究院（教育学系）教授。ジョージア大学大学院修了（Ph.D.）。信州大学講師、助教授、准教授を経て2010年から現職。専門は臨床心理学、教育心理学。公認心理師、臨床心理士、特別支援教育士SV。日本LD学会副理事長、全国高等教育障害学生支援協議会理事、文部科学省障害のある学生の修学支援に関する検討会委員、日本学生支援機構障害学生修学支援実態調査／分析協力者会議委員などを務める。主な著書に『読み書き困難の支援につなげる大学生の読字・書字アセスメント』（金子書房）、『発達障害の大学生のためのキャンパスライフQ&A』（弘文堂）、『発達障害のある大学生の支援』（金子書房）などがある。

教育講演08

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発達障害のある子どもの対応で大切にしたいこと
山の学校での勤務で改めて感じたことを通して

講師：田中裕一
公益財団法人兵庫県青少年本部　兵庫県立山の学校

概要

大学時代に竹田契一先生のゼミで学習障害を学んだ私が、子どもへの野球のコーチング、知的障害者施設勤務など、教育以外の分野でのいろいろな職を経験したあとに文部科学省初等中等教育局特別支援教育課の発達障害のある子どもの教育を専門とする特別支援教育調査官となった。
　６年間、勤めさせていただいたが、学習指導要領改訂や教育と家庭と福祉の連携など、これまでの経験から、必要だと思うことに取り組んできた。
　そして、今、これまで経験したことのない林業を含む体験活動を通して青少年の健全育成を目指すことを目的とした、「兵庫県立山の学校」という施設の長を務めることとなった。
　そこで、改めて、学校教育において、発達障害のある子どもにどのような指導や支援が必要なのか、山の学校の取組、自身のさまざまな経験、大学院での研究などを振り返りながら、みなさんと一緒に考える機会としたい。

【略歴】
1992年　大阪教育大学障害児教育課程卒業後、社会人野球企業チームでプレー
1998年　社会福祉法人　加古川はぐるまの家
2001年　兵庫県立の特別支援学校教員
　2008～2009年　兵庫教育大学大学院
　2011年　国立特別支援教育総合研究所特別研究員
2012年　兵庫県教育委員会事務局特別支援教育課　指導主事
2014年　文部科学省初等中等教育局特別支援教育課特別支援教育調査官（発達障害教育専門）
2020年　兵庫県教育委員会事務局特別支援教育課　副課長
2022年～　兵庫県立　山の学校　校長

教育講演09

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教育講演10

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教育と福祉の連携－「トライアングル」プロジェクトからの動きとこれから―

講師：田中尚樹
青森県立保健大学健康科学部

概要

2018年に家庭・教育・福祉の連携「トライアングル」プロジェクトによる報告が出され、国として障害児の支援について教育と福祉が連携してその方策を進めていくことが示された。国もこの教育と福祉の連携の施策を進めているが、自治体では十分に広がっていない。
そうした実態を把握し、課題や連携の機会を作るための取り組みについて学ぶとともに、発達障害児の支援から、家庭、教育、福祉が連携するということで子どもの成功体験を増やしていくことができる。そうした成功体験の積み重ねが、成人になってからの生活の可能性の広がりにもつながる。教育と福祉の連携を形にしていくための支援施策にも触れながら、連携の取組の必要性について考える。

【略歴】
大学卒業後、小中学校で臨時採用講師として特殊学級（現：特別支援学級）の担任等、社会福祉法人いぶき福祉会生活支援員およびグループホーム世話人、NPO法人アスペ・エルデの会事務局長、日本福祉大学社会福祉学部社会福祉学科助教、厚生労働省で発達障害施策調整官を経て、2022年4月より青森県立保健大学健康科学部社会福祉学科講師。修士（社会福祉学）、社会福祉士。NPO法人アスペ・エルデの会理事。

教育講演11

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多様な学びをどう支えるか
教科教育学・日本語教育学・心理学からの視点

講師：川合紀宗、影山和也、木下博義、松宮奈賀子、森田愛子、永田良太
広島大学

概要

教育講演の枠を活用し、教科教育学・日本語教育学・心理学の研究者たちが、「多様な学びをどう支えるか」をテーマに議論したり、考え込んだり、試行錯誤したりしながらアイデアを出し、それを共有する様子を収録し、公開する。この明確な答えのないテーマに研究者たちがどう挑むのかを見どころとしていただきたい。結果的に答えは出ないかもしれない。でもそれでいい。ただ、議論の過程で出てきたキーワードやテーマ、概念を視聴者がどのように研究や実践の「ネタ」にし、次に繋げていくのか。ここでの議論がそのヒントとなれば幸いである。なお、特別にこの枠は２時間あり、視聴には覚悟が必要だが、内容に引き込まれること請け合いである。

【略歴】
【企画者・司会者・講師】川合紀宗（広島大学教授・当大会事務局長・当学会副理事長）研究内容：音声言語病理学・特別支援教育・インクルーシブ教育・吃音
【ファシリテーター・講師】影山和也（広島大学准教授）研究内容：数学教育・数学的思考・幾何学
【講師】木下博義（広島大学准教授）研究内容：科学教育・メタ認知・批判的思考
【講師】松宮奈賀子（広島大学准教授）研究内容：英語教育・小学校英語教育
【講師】森田愛子（広島大学教授）研究内容：教育心理学・認知心理学
【講師】永田良太（広島大学教授）研究内容：社会言語学・談話分析

教育講演12

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米国のIEPはどのように作成されているのか
経験者は語る

講師：川合紀宗
広島大学

概要

Individualized Education Plan/Program（IEP：個別の教育計画/プログラム）は、米国の特別支援教育において、障害のある児童生徒個々の教育的ニーズに応じて作成される教育プログラムである。IEPは、指導目標や支援方法を明確にし、児童生徒の発達や学習を促すための指針である。IEPを個々の教育的ニーズに合わせて作成するには、保護者と学校が密に連携し、情報交換しながら児童生徒の実態を把握する必要がある。この教育講演では、かつて米国コロラド州の公立学校にて言語療法士としてＩＥＰを作成していた演者が、経験を基にＩＥＰの概要について紹介するとともに、具体的な様式の内容や作成のポイント、ＩＥＰの長所と短所、日本が参考にできる点について述べる。

【略歴】
川合紀宗氏は、広島大学大学院修士課程修了後、渡米。コロラド大学ボルダー校大学院修士課程修了。コロラド州アダムス郡教育局No. 50勤務を経て、ネブラスカ大学リンカーン校大学院博士課程修了。同音声言語聴覚臨床センターを経て広島大学に着任。現在、広島大学副理事（キャンパス国際化担当）、同ダイバーシティ＆インクルージョン推進機構教授、同特別支援教育実践センター長。専門は音声言語病理学、特別支援教育、インクルーシブ教育。近年は、アジア・アフリカ地域におけるインクルーシブ教育の展開や、教科教育学・心理学・日本語教育学と連携した特別なニーズのある児童生徒の学びのパラダイム転換の在り方に関心を寄せている。

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