プログラム

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ポスター発表（P）

セッション別論文ページダウンロード

P01：アセスメント

P01-1

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会場のみ 2023年10月8日（日） 11:00～11:30
（ポスター会場：広島国際会議場 B1F 会議運営事務室ロビー）

タブレット版発達スクリーニング検査の開発
絵の指さし課題の作成

○清水里美¹、米澤朋子²
1.平安女学院大学、2.関西大学総合情報学部

概要

タブレットデバイスを活用し，遠隔地でも手軽に実施できる発達スクリーニング検査として，「絵の指さし課題」を実装した。検査項目は「大小比較」「長短比較」「表情理解」「用途の理解」「なぞなぞ」の5項目12問で，音声教示に従ってタブレット画面に提示された絵を指でおさえる形式である。課題の適切性を検討するために，2歳～7歳の幼児68名に新版K式発達検査2020と併せて実施した。言語社会領域の発達年齢と12問の成績との関連を調べたところ，「なぞなぞ」は4歳台，それ以外の検査項目は3歳台の言語理解の発達を評価するものと考えられた。今後さらにデータ数を増やして分析を重ねることが求められる。

P01-2

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VSIの下位検査間で差が見られた児童のWISC―Ⅴのプロフィールについて

○佐藤匠
島田療育センターはちおうじ

概要

VSIの下位検査間で差が見られる背景を検討すべく、BD（積木模様）＞VP（パズル）、VP＞BDに該当した児童を研究対象とした。BD>VPとVP>B Dを比較した際、WISC―Ⅴの得点差が見られるのか検討した。その結果、BD>VP群はVP＞BD群と比較して、類似、絵のスパン、順唱、数整列が高く、BDとVPの差が生じる背景に概念形成やワーキングメモリーとの関連が考えられた。

P01-3

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ギフテッド応援隊が提供しているサポートブックの評価と有効性調査
保護者へのアンケート調査から分かったこと

○音光裕美¹、佐伯裕美¹、樋口優子¹、日高茂暢²
1.一般社団法人ギフテッド応援隊、2.佐賀大学教育学部

概要

【目的】
ギフテッド応援隊発行のサポートブックの使いやすさについて評価し，学校とのスムーズな連携に有効か調査した。
【方法】
ギフテッド応援隊の所属会員で，サポートブックを使用した方を対象とし，アンケート調査を実施した。
【結果】
28名の保護者から回答を得た。特性，困りごとを伝えやすかったなどの感想が多かった。児への理解に繋がった，対応が変わった，新しい知識が増えたなどの意見も多かった。
【考察】
当サポートブックはギフテッド児を子育て中の保護者にとって，使いやすいものであることがわかった。また，保護者の理解を促進し，周囲の児への誤解を修正するのに有効であった。

P01-4

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自閉スペクトラム症のある子どもの感覚面のアセスメントと動作法の活用

○山崎真義^{1, 3}、田中淳一²、高橋眞琴²
1.滋賀県立八日市養護学校、2.鳴門教育大学、3.兵庫教育大学大学院連合学校教育学研究科

概要

自閉スペクトラム症の子どもたちは，感覚面の過敏や鈍麻があり，その実態把握の重要性が示唆されている。本研究ではまず，感覚面のアセスメントの実施状況や保護者のニーズについてアンケート調査を行った。結果，感覚面のアセスメントの実施率は低かったが保護者のニーズは高いことが示唆された。また，感覚面のアセスメントを行うための手法の１つの可能性として，動作法の活用を検討した。動作法の活動内容を３つのカテゴリーに分類し，カテゴリーごとに関係する感覚を整理した。結果これらの分類が感覚面のアセスメントを行う際の重要な指標となる可能性が示唆されると同時に，動作法実践において考慮すべき感覚であることが考えられた。

P01-5

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子どもの認知機能評価に基づいた生活機能の獲得方法を助言するクラウドサービス
発達分野の作業療法士のノウハウとデジタル認知テストの組み合わせ

○五藤博義¹、小玉武志²
1.レデックス株式会社、2.北海道済生会みどりの里

概要

社会の中で生きていくには様々な生活機能や社会機能を獲得することが必要となる。子どもの支援の場として放課後等デイサービスや児童発達支援施設があるが、これらの施設で専門的な支援を実践する発達分野の作業療法士を確保することが難しい現状にある。そこで、OT13名がそれぞれの知見を基に、各発達段階における生活機能・社会機能の獲得方法の助言に関するデータベースを作成した。それと並行し、子どもの機能評価を行うデジタルパズルを用意し、取り組み結果から対象児の認知機能のアセスメントを行い、一人ひとりの機能に合わせて、獲得したい生活機能の助言を行うクラウドサービスを開発した。

P01-6

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小学校通常学級担任教師へのコンサルテーションにおける「学級支援尺度」の活用効果

○関原真紀、加藤哲文
上越教育大学

概要

本研究では通常学級担任教師にコンサルテーションを実施する際に必要と考えられる知識と技能を提供することを目的として開発された「学級支援尺度」を使用し、発達障害通級指導教室担当者等がコンサルテーションを実施しその効果を検証した。その結果、通常学級担任教師の支援行動が短期間で変化し、児童生徒の行動改善が確認された。また事前事後の調査から通級指導教室担当者等はコンサルテーションに必要な知識と技能を習得したと回答し、学級支援尺度の活用は、多面的に問題を分析し実施すべき支援を明確化できることが示唆された。

P01-7

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５・６歳児における音韻認識の発達とワーキングメモリ

○津島靖子¹、荻野竜也²、眞田敏³
1.就実大学教育学部、2.福山市保健福祉局保健部こども発達支援センター、3.広島県立福山若草園

概要

【目的】現在では，読字獲得の基盤に音韻認識，視覚認知，ワーキングメモリ（WM）などの種々の認知的要因が関与していることが知られている。本報告では，これらの要因におけるWMの影響を明らかにすることを目的とした。【方法】定型発達5～6歳児を対象に逆唱の成績を基準にWM高群とWM低群の２群に分け，各群における理解語彙，音韻分解，Rapid Automatized Naming（RAN）課題の成績を比較検討した。【結果と考察】WM高群はWM低群に比して有意に音韻分解得点が高かった。5～6歳の年齢において，逆唱が高成績であると音韻分解の発達が良好であることが示され，WMは音韻認識の発達に影響している可能性が示唆された。

P01-8

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日本版DN-CAS得点のk-means法クラスタリングによる得点分布の検討

○奥畑志帆¹、石原章子²、岡崎慎治²
1.佛教大学、2.筑波大学　人間系

概要

【目的】日本版DN-CASのPASS尺度標準得点をk-means法によりクラスタリングし、臨床群における得点分布の特徴を検討した。【方法】A大学教育相談でDN-CASを実施した175例を対象とし、プランニング・同時処理・注意・継次処理の標準得点を用いてk-means法によるクラスタリングを行った。クラスタ数の決定にはエルボー法を用いた。【結果と考察】本研究で対象とした臨床群において、４標準得点のばらつきの特徴を代表するクラスタが推定され、臨床群への日本版DN-CASによる認知機能評価の妥当性を示す分布を得た。

P02：読む・書く1

P02-1

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会場のみ 2023年10月8日（日） 11:50～12:20
（ポスター会場：広島国際会議場 B1F 会議運営事務室ロビー）

書き困難のある子供のICTを活用したノートテイキングトレーニングの実践
小学6年生の児童の取り組みから

○山下祥代
広島大学

概要

書字困難のある児童生徒の授業におけるノートテイキング(NT)支援については，ICT機器の活用が効果的である。しかし，1時間の授業時間内で黒板に書かれた情報をICT機器を活用して児童生徒が自立して記録するための過程について詳しい報告は少ない。そこで，公立小学校６年生の児童が中学校でのタブレットPCを活用したNTに向けて取り組んだスキルトレーニングについて報告する。4回のトレーニングを通して，自立したNTを完了させることができるようになった。本取り組みは1事例によるものであり，今後は多くの書字困難のある子供がスキルトレーニングを実践し内容の修正を行なう必要がある。

P02-2

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重複障害（知的、自閉、弱視）のQOL向上を目指すITを活用した指導法の研究
在留邦人を親に持つ重複障害者の指導法の研究

○村山慎二郎¹、原田浩司^{1, 2}、坂尻正次²、大西淳児²
1.宇都宮LDサポートセンター、2.筑波技術大学

概要

特別支援学校における、知的、自閉と弱視の重複障害の指導事例は少ない。本研究は重複障害を抱えたまま卒業し、QOLに大きな課題のある成人へのITを活用した効果を検証した専門機関での指導事例である。被験者「重複障害者（１級）」は　知的障害を対象とした特別支援学校に在籍中の、小学２年時に視覚障害（弱視）を発症した。視覚特別支援学校への転校が困難なため、拡大読書器やIT機器を使用した視覚障害者向けの十分な指導を受けることができなかった。卒業後QOLに大きな課題が残ったため、宇都宮LDサポートセンターにおいて実施した指導についてITを活用した指導方法やその効果について検証した。

P02-3

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通常学級5年生児童の漢字誤り分析Ⅱ
漢字のつまずきに対応したアセスメント法の開発

○村井敏宏¹、榎本はる²
1.学校法人青丹学園フラーテルL.C.、2.公立小学校

概要

【目的】高学年用漢字誤り分析を改訂し通常学級5年生児童に実施し、漢字のつまずきのアセスメント法について検討する。【方法】新しい学年別漢字配当表に合わせた改訂。通常学級5年生児童への実施および分析。【結果】【考察】高学年での漢字の習得状況を把握することができ、一定数の漢字の習得が困難な児童がいることが分かった。漢字誤り分析を実施することで、漢字が苦手な子ども誤り傾向の把握ができることが分かった。

P02-4

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読み書き困難児に対する触力覚誘導提示装置による漢字指導の効果（第三報）
～筆順誘導時のマルチモーダル提示の効果～

○原田浩司^{1, 2}、坂井忠裕¹、齋藤恵美子²、坂尻正次¹、大西淳児¹
1.筑波技術大学、2.宇都宮LDサポートセンター

概要

正しい筆順や「止める」「スピード」のような動作に沿って機械的に手指を誘導して運動覚を刺激する書字の学習方法（誘導示唆型学習）を開発しています。筆順を確認して手指を運動させる従来の学習方法と対比し、間違いのない手順記憶によって長期的な記憶効果もあります。再生された漢字の字体・筆順の正答率について対象児童6名全員について、誘導示唆型学習の筆順誘導時に効果音を付加するマルチダルヒントが有効であることが追認できました。

P02-5

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漢字書字の習得に困難がある児童に対するアプリ教材の効果について
〜同時処理が有意に高い２症例への実践〜

○大西正二^{1, 2}、熊谷恵子³
1.横浜市総合リハビリテーションセンター、2.筑波大学心理・発達教育相談室、3.筑波大学人間系

概要

漢字書字の習得に困難がある2症例に対し，従来の視写による漢字書字学習に必要な全ての工程を補った体性感覚法（大西・熊谷，2019）を基に開発したアプリケーション「Oska Writing（以下，OW）」の学習効果を検証した。従来の視写による学習法（視写法），iPad上でOW（継次式），OW（同時式）を使用した３通りの学習法を単一事例研究法で比較したところ，2症例の認知特性に合った学習法であるOW（同時式）の学習効率が高いことが示唆された。また，漢字の運動覚的な記憶も，OW（同時式）が他の学習法よりも高い傾向が確認された。

P02-6

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書字に困難さのある自閉スペクトラム症児に対する自己調整方略学習モデル（SRSDモデル）を用いた感想文の個別指導

○小林美奈子¹、滝吉美知香²
1.岩手大学大学院　教育学研究科　教職実践専攻、2.岩手大学　教育学部　特別支援教育科

概要

書字困難のある小学6年生の自閉スペクトラム症児一事例を対象に，自己調整方略学習モデルを用いた感想文の個別指導を行い，その効果と対象児自身の文章表現に対するとらえ方の変化を検討した。約11か月間計24回の指導後，前後の作文の評定を比較したところ，文章の質や要素数が向上したことから指導の効果が示された。また，他者志向性と情動の活性化を伴う活動の設定や，感想文の聞き手役設定の効果についても考察された。さらに，指導中の対象児の言動および指導前後での文章表現に対するとらえ方の自己評定の変化から，書くことへの意欲の向上が自分自身の書字の苦手さの再認識につながっていることが考えられ，今後の課題として考察された。

P02-7

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通常の学級におけるビジョントレーニングの効果と課題について
―小学校教員に対するアンケート調査を通して―

○黒川洋平¹、谷川明香¹、今枝史雄²
1.大阪府立藤井寺支援学校、2.大阪教育大学

概要

本研究では、ビジョントレーニングを学校全体で取組んでいるA県B小学校の教員を対象としたアンケートの調査を通して、ビジョントレーニングを実施した効果と課題を明らかにした。結果、直接視機能に関係しない「落ち着いて学習に取り組む」などについて、効果が見られるとの回答が多かった。「頭を動かすことなく、目だけを動かすことができる児童が増えましたか」について、効果が見られるとの回答が多かった。そのため、読むなどの活動の際に、「頭を動かしている」は担任でも評価しやすい項目であると言える。今後は、アンケートの対象の人数を増やし詳細を検証することで、視機能に課題がある児童の早期発見につなげることが必要である。

P02-8

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施設で暮らす子どもの自己選択が学習行動に及ぼす影響について
カスタマイズ教材を用いた学習支援から

○赤塚めぐみ¹、佐々木留海²、後藤隆章³、小池敏英⁴
1.常葉大学、2.児童養護施設、3.横浜国立大学、4.尚絅学院大学

概要

本研究は、子どもの意思で学習条件を選択できるカスタマイズ教材を作成し、その使用が学習の開始や遂行状況に与える影響を検討することを目的とした。対象は、施設に入所する小学４年と５年の男児2名とした。手続きは、Visual Basicを用いて自作したタブレット用カスタマイズアプリを用いて、対象児が読めなかった漢字、読み、意味、イラストの対連合学習を行った。その際、文字の大きさやイラスト等を子どもが選択できるようにした。その後、標的単語を用いて単文作りを行った。その結果、学習に先立って課題内容や刺激を選択できることで学習への取り組みを促し、遂行段階において学習に関連する発話を促すことが示唆された。

P02-9

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読み困難を示すLD児における単語共起性が漢字読みに与える影響
社会科教科書の単語に基づく検討

○後藤隆章¹、中知華穂²、田丸裕理³、赤塚めぐみ⁴
1.横浜国立大学教育学部、2.横浜国立大学D&I教育研究実践センター、3.横浜国立大学教職大学院、4.常葉大学保育学部

概要

目的：読み困難を示すLD児を対象に単語の共起性が漢字の読みに与える影響を検討する。方法：教科書の漢字単語を抽出し、同一テキスト内で使用される関連語で作られた文（高共起性条件）と低い関連語で作られた文（低共起性条件）を整理した。次に読み困難を示すLD児10名に両条件の漢字読み課題の正答率と読みの自信の程度を評価した。結果：低共起性条件より高共起性条件で読みの自信が有意に高まる事例が認められ、VCI指標が高かった。考察：読み困難を示すLD児では、単語の共起性を考慮した漢字読み課題を用いることで、読み処理の心理的負担を軽減させられる可能性が示唆された。また、その背景に言語処理能力が関与する可能性が考えられた。

P03：読む・書く2

P03-1

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会場のみ 2023年10月8日（日） 12:40～13:10
（ポスター会場：広島国際会議場 B1F 会議運営事務室ロビー）

1年生12月時点の直音・単音音読成績の予測精度に関する研究
就学前2月および就学後７月からの検討

○蔦森英史
北海道教育大学

概要

1年生12月時点の直音・単音音読流暢性を就学前から予測可能か、就学前2月と就学後7月時点からの検討を行った。音読流暢性は、１分間の音読正答数を指標とした。2月と7月に関しては、直音流暢性、非語復唱、RAN、月齢の評価を行った。12月直音・単音流暢性を従属変数、2月または7月の測定値を独立変数とした重回帰分析をステップワイズ法で実施した。直音流暢性の予測因子として2月と7月の双方で直音音読正答数のみが抽出された(2月：β=.58, R²Change=.32, 7月：β=.8, R²Change=.64)。単音流暢性の予測因子としても直音音読正答数のみが抽出された(2月：β=.72, R²Change=.51, 7月：β=.78, R²Change=.61)。直音流暢性が有用な予測因子であり就学前から12月の成績を予測しうる可能性が示唆された。

P03-2

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漢字学習低成績児童における書字課題の無答状態の生起背景
小学校6年生を対象とした検討

○田丸裕理¹、後藤隆章²、小池敏英³
1.横浜国立大学教職大学院、2.横浜国立大学、3.尚絅学院大学

概要

【目的】小学校6年生を対象に、漢字書字テストの結果から、漢字学習における低成績と空欄の傾向を授業態度との関連より検討した。【方法】漢字書字テストにおける成績と授業態度について評価し、相関分析及びロジスティクス回帰分析を実施した。【結果】努力的調整と誤答率、空欄率に有意な正の相関、空欄率の高・低群の出現において、努力的調整、書字成績に有意なオッズ比、自己モニタリング的調整×書字成績において有意傾向であった。【考察】低成績児童に多くの空欄が見られる傾向があり、努力的調整が得点及び空欄に影響を及ぼすことが明らかとなった。低成績児童では、自己モニタリング的調整の不調の影響を受けやすい可能性がある。

P03-3

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Rey-Osterrieth複雑図形検査による小・中学生漢字書字困難児の視覚認知の特徴の検討
－Boston Qualitative Scoring Systemを用いて－

○栁内景太¹、単炳鋒¹、関あゆみ²
1.北海道大学大学院教育学院、2.北海道大学大学院教育学研究院

概要

本研究では，漢字書字困難児に対してBoston Qualitative Scoring Systemを用いたRey-Osterrieth Complex Figure Testを実施し，描画方略を中心とした漢字書字困難児の視覚認知の特徴を明らかにした。
　Nakanoら（2006）に従い，8～9歳，10～11歳，12～14歳の3群に分けて定型発達児と比較した結果，8～9歳と10～11歳では組織構成が低かった。一方，12～14歳では定型発達児との間に差がなかった。また，描画方略と記憶保持との関連を検討した結果，模写時の情報の量と正確性に加えて組織構成が高いと遅延再生時の情報量と正確性に対する予測率が高くなった。
　漢字書字困難児のまとまりの捉えと方略は11歳までは低いが，年齢の経過とともに12歳以降で定型発達児と同水準まで向上することが示唆された。

P03-4

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小学生の英単語読み習得に影響をおよぼす予測因子に関する後方視的検討
低学年における認知能力ならびに中学年以降のローマ字読み成績との関連

○細川美由紀¹、室谷直子²、井上知洋³
1.茨城大学、2.常磐短期大学、3.香港中文大学

概要

【目的】小学５年生時点での英単語読み習得の状況について，小学2年生時点における認知能力ならびに小学3年生以降のローマ字読み能力がどのように予測しうるのかについて検討した。【方法】小学生35名を対象とし，2年生時点で音韻処理等の認知課題を，3・４・5年生時点でローマ字読み課題，5年生時点で英単語読み課題を実施。【結果および考察】2年生時点での音韻処理課題ならびに3・4年生時点でのローマ字読み課題において，英単語読み課題の低得点群に比べ，高得点群の得点が有意に高かった。このことから，低学年時における音韻処理能力やローマ字読みの習得状況は，小学校高学年の英単語読み能力を予測しうる可能性が示唆された。

P03-5

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高学年児童の読み書き障害傾向と不安・抑うつの関連

○薄洋介¹、飯田順子²
1.江戸川区立大杉小学校、2.筑波大学

概要

本研究は, 小学校高学年とその学級担任教員を対象とした質問紙調査から, 読み書き障害傾向と不安・抑うつとの関連, またこれらを媒介する要因について実証的に明らかにすることを目的として行われた。公立小学校4校の通常学級に在籍する 353名の児童およびその学級担任 14名を対象に実施した。パス解析を行なった結果, 良好なモデル適合度が得られ, 読み書き障害傾向の症状が不安・抑うつを引き起こすのではなく, 読み書き障害傾向の特性により学校でのネガティブ体験を経験しやすく, ポジティブな体験を経験しにくくなることで, 自尊感情が低下し, 不安・抑うつへと至るという二次的問題の発現メカニズムの可能性が示唆された。

P03-6

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自閉症・情緒障害特別支援学級における「主体的・対話的で深い学び」を意図した物語文の心情理解の指導
－「スーホの白い馬」の実践事例を通して－

○曽谷敦子¹、石橋由紀子²
1.兵庫県公立小学校、2.兵庫教育大学大学院学校教育研究科

概要

自閉症・情緒障害特別支援学級の２年生の児童４名を対象とし、話し合い活動を通して「主体的・対話的で深い学び」が保障されるよう、相互の「得意」を生かした物語文の心情理解の指導を実践し、ASDのある児童の心情理解への効果を検証した。その結果、時系列に沿って、状況理解から心情理解へと話し合いが進められた。どの児童も、友達の発言を聞いて自分の考えを修正していく様子が見られ、全員の児童が、「直観の段階」から「相互関係把握の段階」へと心情理解が進んだ。対話の中でスーホになりきって状況を共有できたことが、心情理解を深めることにつながったと言えるのではないか、と推察された。

P03-7

論文ページ

振動するペンが幼児の書字の習得に及ぼす影響

○飯塚朱里¹、鄭家欣¹、大西正二²、大西剛史³、中根啓太³、伊神夏帆³、熊谷恵子⁴
1.筑波大学大学院人間総合科学学術院、2.横浜市総合リハビリテーションセンター、3.株式会社東海理化、4.筑波大学人間系

概要

本研究では、一般の幼稚園に通う幼児32名（年中14名、年長18名）を対象に、線を正しく描いた場合には手指に対して振動が加えられるペンを用い、ひらがなの書字が促進されるかを検討した。その結果、振動あり条件から振動なし条件に移るA群においてはひらがなの習得文字数は有意に高かった一方で、振動なし条件から振動あり条件に移るB群においてはいずれの条件でも有意差は認められなかった。今後、データ数を増やしていくとともに、運筆コントロールが不良な子どもと良好な子どもを比較することや振動の種類および強度についても検証していく必要があると考える。

P03-8

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小児科発達外来における学習支援ルームの読み書き困難児に対する実践
―アセスメント検査の結果を基に児童の認知特性に合わせた学習支援―

○廣澤清子、山下純子
小児科発達外来

概要

【目的】読み書きが困難な児童に焦点をあて児童の実態とアセスメント検査で把握した認知特性を基に学習支援を行った実践を整理し成果と課題を導き出すことである。【方法】「読めない書けないひらがながある」の主訴がある小学校2年Ａ児にWISC‐Ⅳ、KABC-Ⅱ、STRAW‐R等の検査を実施しＡ児の実態や認知特性に合わせた指導を約1年間おこなった。【結果】得意な視覚情報を利用したり、音読の前に内容理解をしたり、興味のある題材を用いたりすることで苦手な読み書きや音読も楽しく前向きに取り組み、自己肯定感をあげることができた。【考察】一人ひとりの認知特性に合わせた指導が大切であることが示せた。

P03-9

論文ページ

読みに困難が見られる小学１年生のひらがな拗音の読み誤りに関する検討
―単音連続読み検査を活用して―

○亀山麻子^{1, 2}、関あゆみ³
1.北海道大学大学院教育学院、2.公立小学校、3.北海道大学大学院教育学研究院

概要

本研究では、1年生読み困難児の拗音表記の誤読の特徴を明らかにした。垣花（2008）が調査した幼児と比較した結果、拗音表記正答数は本研究の困難児の方が幼児より習得度が高かった。垣花に従い、拗音表記の出現頻度を高群、中群、低群の3群に分け正答率との関連を調べた。頻度高群の拗音表記は70%以上の児童が正答し、中群では50%以下から70%を超すものが混在した。低群は正答率にばらつきがみられ70%を超えたものはなかった。困難児の習得率が低かった拗音表記と調音との関連はみられなかった。困難児における拗音習得は、幼児と比較して調音の影響が小さくなり出現頻度の関与が正答率に影響を与えることが示唆された。

P04：聞く・話す

P04-1

論文ページ

会場のみ 2023年10月8日（日） 13:30～14:00
（ポスター会場：広島国際会議場 B1F 会議運営事務室ロビー）

聞く話す障害の中学生LDに対する統語指導

○小田部夏子^{1, 4}、松下明広²、塩原亜紀²、内山仁志³
1.国際医療福祉大学クリニック、2.大田原市立若草中学校、3.島根県立大学人間文化学部、4.大田原市教育委員会

概要

DSM５などの医学的診断名では言語障害、教育用語ではLDにあたる特別支援学級在籍の中学2年生に対し統語指導を集中的に行い、聞く、話すことが改善され、面接や作文といった高校受験に求められる課題に改善が認められたので報告する。言語習得における臨界期仮説があるが、本事例を通して統語面は中学生でも伸ばすことが可能であると示唆された。指導前後でWISC検査結果に変化がなかったことからWISCで文法感受性を測定できないと再認識された。教育支援の評価にWISCが偏重される傾向にあり言語聴覚士でも言語障害を見逃してしまうため統語面の評価ツールの開発が待たれる。医療と教育間で用語の概念が異なっているため連携の際には注意が必要である。

P04-2

論文ページ

「聞く・話す」領域に困難さを抱える児童へのナラティブを用いた言語指導
―「５枚絵指導」の活用事例 ―

○入山満恵子¹、葭岡晃世²、鈴木由紀子³
1.新潟大学、2.連雀学園三鷹市立南浦小学校、3.文京区立金富小学校

概要

「聞く・話す」領域に困難さのある子どもの実態把握は難しく、体系化された評価や指導は少ない。本研究ではナラティブを用いた言語指導(5枚絵指導）を考案し、実践した上で成果を検討した。【方法】5枚絵指導を一定期間実施し(計7回)、その後、5枚絵指導の要素を取り入れた自発話を誘発する指導（計22回）を継続した。【結果】一定の手続きで自発話誘発を続けた結果、日常の経験や思考の過程を言語化できるようになった。【考察】「聞く・話す」のような文レベルの言語の問題は、体系化された指導手続きに基づき、伝わらなさの背景を把握し、明示的な指導をすることが重要であり、ナラティブを用いた言語指導法はその一助になると考える。

P04-3

論文ページ

「聞く・話す」に困難を示す外国につながる幼児への音韻分解あそびが発語に及ぼす効果

○森下未奈子¹、飯島知子²、後藤隆章³、小池敏英⁴、赤塚めぐみ¹
1.常葉大学、2.磐田市立磐田中部小学校、3.横浜国立大学、4.尚絅学院大学

概要

【目的】本研究では、「聞く・話す」に困難を示す外国につながる幼児に対し音韻分解あそびを実施し、発語に及ぼす効果について検討することを目的とした。【方法】外国につながる幼児1名に対し、一回30分程度の個別指導を計22回実施。音韻分解に基づくすごろくゲームや、ことばあつめゲームなどを行った。指導の様子をビデオカメラで撮影し、対象児の発話について品詞ごとに出現回数を計測した。【結果・考察】指導実施後、明瞭に判別できる日本語が増え、語句のまとまりが生じ、助詞を活用できるようになった。その背景には、音韻操作課題によって日本語由来の音への気づきが高まったことが影響していると考える。

P04：計算・算数

P04-4

論文ページ

会場のみ 2023年10月8日（日） 13:30～14:00
（ポスター会場：広島国際会議場 B1F 会議運営事務室ロビー）

算数困難児の分ける・お金の使用の課題習得の経過と暗算について

○秋元有子¹、紺野道子²、豊村かなみ¹、中石康江¹
1.白百合女子大学発達臨床センター、2.東京都市大学

概要

A大学センターに来所した知能水準は正常範囲にある男児と女児1、境界線知能の女児2、知的障害の女児３の４名に半年間以上の算数の治療教育、経過観察を行った。女児３名は分ける課題に問題を示した。女児１と女児２はお金の理解に遅れが見られ概算に困難を示し、筆算は可能だったが課題への適用は難しかった。男児と女児３はお金の理解に遅れは見られたが小６では概算や金額の計算を暗算で行った。４名ともお金の使用が暗算等の心的操作を促す傾向が認められたが、著しい筆算困難の男児は読み上げ、数式を横書きした計算課題の提示方法により筆算できない課題を暗算で答え、異なる計算方略の使用が推察された。

P04-5

論文ページ

算数を苦手とする児童への加減算の計測と指導法改善
認知特性と誤答分析を活かした自動化への取組

○福田宜男¹、村山慎二郎¹、原田浩司^{1, 2}、坂尻正次²、大西淳児²
1.宇都宮LDサポートセンター、2.筑波技術大学

概要

小学校の通常学級の児童のなかには、知的な遅れはなく、計算の自動化がなされず、繰り返し指導をするが計算のつまずきを改善されない子どももいる。改善されない子どもに対し、タブレットＰＣを用いて、計算式に回答とすることで、回答時間や誤答などの結果を瞬時に得ることができる。分析に基づいて効果的な指導に活かすことを目的に研究することにした。タブレットＰＣの画面に表示された加減算を１０回計測し、分析して即時指導するようにした。特に加数や減数が「６、７、８」のときに誤答が集中し、回答時間が長くなった。対象児童の認知特性に応じて指導した結果、誤答がなくなり、回答時間の減少につながり計算の自動化につながることができた。

P04-6

論文ページ

運動を使ったかけ算九九指導
3名の児童の日本版感覚プロファイルの結果との関連に着目して

○池田康子¹、熊谷恵子²
1.筑波大学大学院人間総合科学学術院、2.筑波大学人間系

概要

本研究では、九九の習得に困難がある3名の児童に対し、かけ算シートを床に敷き、その上をジャンプ、歩行、静止の三種類の方法で九九の指導を行い、その効果を検討した。その結果、どの指導においても正確さと流暢性が向上した。一方、途中経過や指導法に対する反応は子どもによって異なっていた。日本版感覚プロファイルの低登録・感覚探求・感覚過敏・感覚回避の4つ全てが「非常に高い」あるいは「高い」2名は、覚えやすい方法としてジャンプを選び、「平均」である1名は、1つ1つ見ながら歩行することを選んでいた。ジャンプよって強い感覚刺激が入ることが効果的で学びやすくなる子どもがいることが示唆された。

P04-7

論文ページ

小学校低学年における数感覚基数性と数的事実・計算の関連性についての検討
通常学級における簡便な算数障害の評価に向けて

○鈴木歌音¹、藤岡徹²、水野賀史³、宮本信也⁴
1.白百合女子大学発達臨床センター、2.福井大学教育学部、3.福井大学子どものこころ発達研究センター、4.筑波大学名誉教授

概要

本研究では、早期支援のためのスクリーニング検査の開発に向けて、小学校低学年における数感覚基数性に関する課題成績と数的事実に関する課題成績の関連性を明らかにすることを目的とした。対象は公立小学校の通常学級に在籍する小学1年生371名と２年生330名とし、数感覚基数性課題、数的事実・計算課題を集団実施した。その結果、1年生、2年生ともに数感覚基数性と数的事実・計算のうちのいくつかの領域が有意に関連していた。今回の結果は、小学校低学年における数感覚基数性の評価が、算数障害の評価に役立ち、早期的な支援を目的としたスクリーニング検査の開発に有用であることを示唆した。

P04-8

論文ページ

1位数同士のかけ算の指導に関する研究
－つまずきの要因からの分析－

○伊藤一美
星槎大学大学院

概要

本研究は先行研究の分析から,子どものつまずきに応じた1位数同士のかけ算の指導順序を検討し,個別最適な学びにつながることを目指したものである。日本の先行研究で指摘されている誤りは,言語的混乱と位置付けられる,乗数・被乗数に4,7,6,8を含むかけ算にあると指摘されていることから,言語情報処理が得意な子どもにとっては日本のかけ算九九の指導順序は学びやすい方法である一方,苦手な子どもにとっては言語的混乱による誤答がさらに増加する可能性があることを明らかにした。個別最適な学びを目指すためには,子どもつまずきの特徴とさまざまな学びにスタイルにあわせた指導順序のバリエーションが必要であると結論づけた。

P05：英語

P05-1

論文ページ

会場のみ 2023年10月8日（日） 14:20～14:50
（ポスター会場：広島国際会議場 B1F 会議運営事務室ロビー）

英語の文字列の視写（模写）課題における小中学生の成績差についての検討
―英語の読み書きスクリーニング検査の結果から―

○上岡清乃¹、鈴木恵太²、水戸陽子¹、石坂郁代¹
1.北里大学医療衛生学部、2.岩手大学教育学部

概要

【目的】本研究では、開発した英語の読み書きスクリーニング検査中の視写課題の結果から小中学生の英語の文字列の視写における特徴について検討する。
【方法】対象は、小学校児童536名と中学校生徒682名。検査課題全7問のうち、問題6（有意味文視写課題）と問題7（無意味文視写課題）の結果について相関と得点差を確認した。
【結果】学年が上がるにつれて、書字数が有意に向上した（p＜0.05）。小学生および中学生で、問6と問7の間で強い相関が認められた（ρ＝0.846, 0.781）。小学生では、問6に比して問7の得点が有意に高く（p < 0.01）、中学生では、問7に比して問６の得点が有意に高かった（p <0.01）。
【考察】学年が上がるにつれて書字速度の差が生じることが示唆された。これは、小・中学生間の英語教科の習熟度の差や、アルファベットの書字経験の差から生じたものであると推察された。また、校種間の得点パターンの異なりは、効率的に文章や単語を記憶・書字するために意味システムを経由したか否かによって生じた可能性があると考えられた。

P05-2

論文ページ

学校現場における将来の英語読み書き困難を予測する簡易アセスメント
音読課題（音読速度・音読の流暢さ）を用いて

○森秀樹^{1, 2}、関あゆみ³
1.市立札幌開成中等教育学校、2.北海道大学教育学院、3.北海道大学大学院教育学研究院

概要

本研究では、中学生用の英語のカリキュラムに基づく尺度（英語CBM）として利用可能な簡易的な音読課題を作成し、その有用性を検討することを目的とした。通常学級の第2学年（N=58）に対して音読課題を3回実施し、同年度実施の英検IBAのreading得点（読解力）と第３・４学年実施のGTECのreading得点との関連を検討した結果、音読課題は読解力と中程度以上の相関を示した。また、第４学年実施のreading得点を用いて分類した２群において、下位群に分類された生徒のうち各音読課題で少なくとも１回は困難を示していた比率が有意に多いという結果から、音読課題は将来英語の読み書きに困難を抱える可能性のある学習者をある程度予測できることが示された。

P05-3

論文ページ

書字に難しさがある学習者へのアルファベット文字指導
限局性学習障害（書字障害）と診断を受けた児童の場合

○飯島睦美
群馬大学

概要

【目的】書字に難しさのある学習者が、アルファベット文字を習得する際、実際にはあまり指導されない書き順を指導することの効果を考察する。【方法】小学校２年次に「限局性学習障害（書字障害）」と診断を受けた男児に（１）筆順が示されていないアルファベット文字を模写する方法と（２）筆順を示したアルファベット文字を模写する方法の２通りの指導を行い、書かれた字形やかかった時間を比較した。【結果】書かれた字形については、（１）よりも（２）のほうがより形が整っており、要した時間はも（１）のほうが短かった。【考察】書き順を定着させることで、文字の形も一定となり、書字練習には効果的と考えられる。

P05：感覚・運動（視覚、聴覚、不器用）

P05-4

論文ページ

会場のみ 2023年10月8日（日） 14:20～14:50
（ポスター会場：広島国際会議場 B1F 会議運営事務室ロビー）

触覚を利用した歯みがき指導について
歯みがきの苦手な発達障害児に対して触覚を用いた指導例

○錦織亜矢
たかはしキッズデンタル

概要

歯科診療における歯科衛生士業務の１つに歯みがき指導（以下TBI）がある。磨き残し部分を実際に磨かせた場合、発達障害児のほうが定型発達児に比べ、歯みがきのコツをつかむのに時間がかかることが多い。これはボディイメージおよび空間認知を形成する固有感覚の弱さが関係していると考えられている。このような事例において、患児の触覚を用いたアプローチを試みたところスムーズにTBIを行うことができた。これは触覚を利用することでボディイメージが形成しやすくなり、歯みがきのコツがつかみやすくなったと考えられる。

P05-5

論文ページ

特別支援学級における作業療法士と連携した運動指導実践による一事例の変化

○清水夕貴¹、池田千紗²
1.北海道教育大学大学院、2.北海道教育大学札幌校

概要

特別支援学級に在籍する協調運動困難を呈する児童を対象に、作業療法士（以下、OT）と連携して、運動に関するアセスメントを行い継続的な運動指導を実践した。アセスメンに基づき指導方針を立て、毎朝２０分間、体育館での運動指導を2か月間実施した。その結果、運動指導前後で感覚の受け取り方や日常生活の動作に変化が生じ、協調運動の困難さが軽減したことが推察された。アセスメントに基づき指導方針を立てたことで、短時間・短期間の取り組みでも成果につながったと考える。今後こういった取り組みを拡大、継続していくため、運動に関するアセスメント方法の検討や外部専門家を活用するシステム作りが求められる。

P05-6

論文ページ

宮原資英の短期連載「アダプテッド（適合）ダンスのすすめ」の資料性
－心理療法から運動学習への転換に着目して－

○清野宏樹
桃山学院教育大学人間教育学部

概要

戦後から日本の体育をリードしてきた雑誌である大修館書店の月刊『体育科教育』を基に，特別支援教育の体育授業実践を網羅的に整理し，その推移と中身の傾向を捉えることを試みた．その中で，1995年に宮原が提唱した「アダプテッド（適合）ダンス」によって，心理療法を主流とした特殊教育として進んでいた手段的な運動から通常学校と同様な体育授業への転換を図ることになった歴史的な資料性を有していると考察した．ほぼ時を同じくして矢部（1994）も，アダプテッド・スポーツと命名した．さらに，DCD研究にも影響を与えた．心理療法から運動学習へ転換させる日本の特別支援教育の体育における時代の分岐点となった貴重な論考であると推察された．

P05-7

論文ページ

大学生における感覚過敏特性の実態と認識
大学生活での困りと関連させて

○蒔苗詩歌^{1, 2}
1.北星学園大学経済学部、2.北海道大学大学院教育学院

概要

大学生を対象に感覚過敏特性に関する質問紙を実施し、その実態把握と認識を調査した。その結果、感覚過敏特性の高さは、診断のない大学生においても生活面での様々な困りにつながっている現状が分かった。その一方で、感覚過敏じたいの認識は低く、誤解も多いことが明らかとなり、場合によっては感覚過敏によって生じた大変さが心理的問題にも発展しうる可能性が示された。まずは本人が感覚過敏という状態像を知ることで、周りとの差異についての不安感を軽減できると同時に、周囲の理解を得るための説明もしやすくなることが考えられた。

P06：就学前の支援

P06-1

論文ページ

会場のみ 2023年10月8日（日） 15:10～15:40
（ポスター会場：広島国際会議場 B1F 会議運営事務室ロビー）

幼稚園における学級規模ポジティブ行動支援の実践
幼児の片付け行動に及ぼす効果

○宮木秀雄
山口大学

概要

【目的】本研究では、幼稚園において学級規模ポジティブ行動支援の第１層支援を適用し、その効果を検討することを目的とした。【方法】幼稚園の５歳児クラスを対象に、目標行動の設定と掲示、学級担任による言語称賛、目標行動が達成できていた園児の紹介と「にこちゃんマーク」の付与等の実践を行った。【結果】介入の結果、園児の片付け従事率および学級担任による言語称賛の増加が見られた。【考察】目標行動の掲示が先行条件として、学級担任による言語称賛、全員が集まる場において紹介してもらえること、「にこちゃんマーク」が付与されることが強化子として有効に機能した可能性が示唆された。

P06-2

論文ページ

5歳児健診時点で支援を要する子どもの学力の検討
就学前の知能発達スクリーニングの結果を用いて

○野村昂樹¹、小野舟瑛²
1.総合診療センターひなが、2.福島学院大学短期大学部

概要

【目的】A町の5歳児健康相談事業（以下健診）では、支援が必要と判断した児らをフォローアップ群（以下FU群）として経過を観察している．この検診について、小野(2023)は，FU群は情緒や行動上の問題があることを指摘したが，学習面については検討されなかった．そこで、本研究はFU群の学力について検討を行う。
【方法】健診対象児333名を対象とし，対照群とFU群の年長時点での知能検査（知能発達スクリーニング検査）の結果について，χ2検定を行った．
【結果】FU群の要精査の割合が有意に高かった（χ2（1）=21.25,p<0.01）。
【考察】FU群は非FU群と比べ，年長時点での学力に課題があった．FU群に対し，行動面と学習面に対して支援を検討する必要がある。

P06：義務教育期（小・中学）の支援1

P06-3

論文ページ

会場のみ 2023年10月8日（日） 15:10～15:40
（ポスター会場：広島国際会議場 B1F 会議運営事務室ロビー）

知的障がい学級における「人と人」「教科・領域と生活」「行為と言葉」の３つのつながりを重視したカリキュラムの開発とその効果

○松浦百香¹、堀部要子²
1.春日井市立西山小学校、2.名古屋女子大学

概要

３つのつながりを重視した主体的・対話的で深い学びの実践を通して、知的障がい学級のカリキュラムを開発し、その効果を明らかにすることを目的とした。「人と人」のつながりをつくる特別活動、「教科・領域と生活」のつながりをつくる教材の選択と活用、「行為と言葉」のつながりをつくる国語科指導を、2年間にわたって実施した。抽出児の変容を分析することで効果を検証した。実践の結果、主体的に学習や企画をするなどの抽出児の行動変容が見られ、日常の作文においても体験を適切に文章化できるようになった。3つのつながりを重視したカリキュラムの実践は、知識・技能の活用、自己の振り返りに有効であるという示唆が得られた。

P06-4

論文ページ

二次障害が生じている中学生に対する支援
〜通級指導の実践から〜

○川合理恵¹、山下公司²
1.市立札幌大通高等学校、2.北海道教育大学

概要

自己肯定感の低さが望ましい自己理解を妨げ，様々な二次障害が生じている事例は多い。本研究は，中学生が自己理解を深めながら二次障害を軽減させる経緯について検討することを目的とした。
　二次障害が生じていると考えられる中学生に対して行った支援を，その方法とした。結果は，対象生徒の二次障害は支援開始からほどなく表面化しなくなり，学習面や対人面の成功体験が増えるにつれ，二次障害が軽減されていった。
　以上より，自己理解を深めながら二次障害を軽減するために，本人がなりたい自分に近づくための支援は効果があったと考察した。また，自己理解の深化と二次障害の解消は，相互に作用しながら進んでいくと考えた。

P06-5

論文ページ

小中学生を対象とした小集団ソーシャルスキルトレーニング・ヨガプログラムの実践

○飯田順子¹、太田千端³、川崎知己²、嶋田あゆみ⁴
1.筑波大学、2.千葉商科大学、3.東京都練馬区学務課、4.筑波大学心理発達教育相談室

概要

本発表では、2022年度に実施された小集団ソーシャルスキルトレーニング・ヨガプログラムの実践を報告する。参加者は小学生プログラム4名、中学生プログラム3名であった。小学生プログラムは、ソーシャルスキルトレーニングの内容に、ソーシャルエモーショナルラーニング（SEL）の内容を取り入れて構成した。ヨガでは、小学生プログラムを卒業した中学生のプログラムを新たに設定し、中学生のプログラムを実践した。今年度実施したプログラム及び事前事後に実施したアンケート結果を報告する。今年度は、実施形態がオンラインから対面に年度の途中で変更になった。オンラインから対面に戻すうえでの対応や配慮事項についても考察を行う。

P06-6

論文ページ

LD児と教員の関係性の変化から生まれた学校における主体的なICT活用
LDのある中学生がiPadでの学び方を教員とともに考えるまでの約１年半の経過分析

○内田佳那^{1, 2}、丹治敬之³
1.兵庫教育大学大学院連合学校、2.日本学術振興会、3.岡山大学学術研究院教育学域

概要

中学1年生のLD児におけるiPadでの宿題提出への変更から、学校での活用法を教員と共に考えるまでの約1年半の経過を報告した。本事例では、学校での活用が進まず、学習意欲や自信の低下が見られた。教員からは、テストや入試への影響、評価の公平性の懸念があったが、学習意欲や自信の向上が重要であることを共有し、学校でのiPadの活用を進めていった。その結果、本人主体のICT活用、教員の関わり方の変化が生まれ、教員と本人が共に相談しながら学び方を模索するようになった。本研究から、学校でのICT活用や合理的配慮には、ICT機器の導入のみならず、個に応じた学び方を相談し合える教員の存在が重要となると考えられた。

P06-7

論文ページ

オープン型教室に着目した学習環境の検討

○岩間叶実¹、片桐正敏²
1.札幌市立手稲鉄北小学校、2.北海道教育大学旭川校

概要

廊下側に壁を設けないオープン型教室（以下，OP型教室）は，外部から聴覚や視覚刺激の影響を受けやすい。そこで本研究は，児童にとってOP型教室は居心地の良い学習環境であるかを検討することを目的とした。北海道でOP型教室を設置した小学校に対してアンケート調査およびインタビュー調査を実施した。調査の結果，OP型教室が児童の実態把握や迅速な支援のしやすさが明らかになった。一方，「隣の教室の声や音が気になり，授業に集中できない」などの意見も挙がった。ＯＰ型教室は，外部刺激が侵入しやすく，児童の学習や生活上の問題ばかりではなく，開放的な構造によって，児童の実態把握や迅速な支援を促進する効果も期待できるといえる。

P07：義務教育期（小・中学）の支援2

P07-1

論文ページ

会場のみ 2023年10月8日（日） 16:00～16:30
（ポスター会場：広島国際会議場 B1F 会議運営事務室ロビー）

特別支援教育の推進　教育と福祉のさらなる連携１
－総合教育相談室の機能強化と連携支援コーディネーター設置－

○香川稚子^{1, 2}、田中容子^{1, 2}
1.三鷹市教育委員会、2.教育部

概要

１.目的
自治体が行う特別支援教育の推進を多職種連携を通じて学校や教育・福祉行政の在り方について考察する。
２.方法
「三鷹市教育支援コーディネーターによる三鷹市教育支援プラン2022推進状況調査（第２次改定）結果」と連携支援コーディネーターが実施する「切れ目のない支援体制整備事業」により調査分析を行う
３.結果　
連携支援コーディーネーターが作成した進路の選択についてのテクニカルサポートにより教員が将来を見据えた指導と支援を実践した。自治体内の人事異動等に左右されない組織の維持・発展が求められている。

P07-2

論文ページ

海外在留邦人の特別支援教育へのニーズ
半構造化面接のためのチェックリスト作成と保護者のニーズの把握

○島田恭仁
関西福祉科学大学

概要

【目的】海外在留邦人の特別支援教育へのニーズを知るための一助として、半構造化面接用チェックリストの作成と保護者のニーズの把握を行った。【方法】海外で特別支援教育を受けている児童の保護者にインタビューを行った。【結果】筆者自身の質問内容を分類整理してチェックリストを作成した。記録を整理した結果、児童は言葉の遅れがなくても言語的に不利であることが分かったが、通常学級では十分な第2言語の支援を、補習授業校では十分な第1言語の支援を受けていることも分かった。【考察】多くの海外在留邦人がバイリンガルを活かしたギフテッド向けの特別支援教育にニーズを持つと予想された。

P07-3

論文ページ

小学校通常学級における集団随伴性を利用した授業準備行動の形成
学級経営に困難さを感じている担任による実践

○大塚大輝
公立小学校

概要

本研究の目的は、小学校通常学級において、困難を感じている教師が集団随伴性を用いた取り組みを実施し、その効果や課題を検討することであった。学級経営に困難を感じている著者が担任する公立小学校3年生の1クラス（28名）を対象に、授業準備行動ができていた人数の折れ線グラフでの提示や累積人数が一定の値を超えた際のバックアップ強化子の提示、一日あたりの目標人数以上の児童が標的行動を達成した際のパズルピースの提示等を実施した。介入の結果、授業準備行動がわずかに増加し、その状態が安定した。また一定の社会的妥当性も示された。一方で、行動の改善が児童の実感として感じられなかった等の課題も明らかになった。

P07-4

論文ページ

ADHD傾向があり異性に対する問題行動を呈した男子中学生への個別のソーシャルスキルトレーニング
友達と会話を始める及び遊びに誘うことと断られた時に対処するスキルの形成

○佐藤亮太朗^{1, 3}、YANG JING^{1, 3}、熊谷恵子^{2, 3}
1.筑波大学人間総合科学学術院、2.筑波大学人間系、3.筑波大学心理・発達教育相談室

概要

本実践では、ADHDの傾向があり、異性に対する問題行動を呈した男子中学生に対して、友達とのコミュニケーションスキルに関するソーシャルスキルトレーニング（以下、SST）を実施した。対象の主訴は他人とのコミュニケーションが苦手なことであり、対象の成育歴や現在の状況、ADHDの傾向、KABC-Ⅱをもとに支援方針を立案した。本実践の結果、対象は友達へ話しかけることや、断られた時に適切に対応するスキルを習得し、引っ込み思案傾向や自尊感情が改善した。これらの改善は、介入終了３週間後のフォローアップでも維持した。今後は、より長期的にフォローアップを継続する必要がある。

P07-5

論文ページ

自閉症・情緒障害特別支援学級に在籍する児童の自己支援法の獲得と般化
―児童版ストラテジーシートの効果と指導順序の検討―

○宮崎光明
富山大学教育学部

概要

公立小学校の自閉症・情緒障害特別支援学級在籍の児童5名に、児童版ストラテジーシートを利用した自己支援法の獲得と般化を目的として、自立活動の単元を計画し実施した。前時まで、児童はシートの活用方法を学習し、経験から学んだ環境調整等の支援方法で、本の登場人物の苦手な行動を改善する方法を考えた。本研究では、日常生活で起こっている児童の苦手な行動に対して、児童自身がシートを活用して考えた自己支援法を実践することで、苦手な行動の改善ができるのか明らかにすることを目的とした。結果、児童はシートを用いて自己支援法を考え、実践し、苦手な行動が改善できた。シートの効果と指導手順について考察した。

P07-6

論文ページ

LDが疑われる男児の指導経過について
ーDN-CASの分析からー

○後藤紗織¹、松渕由佳子²、芳賀道²
1.清和大学短期大学部、2.NPO法人ことばのいずみ教室

概要

目的学習障害（以下、LD）が疑われる小学3年生の男児の指導結果を検討する。
方法個別の学習支援を約一年行い、指導内容は主に天野（2006）の「小学校低学年LD児に対する読み書き入門言語・認知教育プログラム」の中の分類操作の学習を基礎にした語彙・意味・認知的教育プログラム（Lプログラム）を用いた。
結果Lプログラムの指導前後で、(1)包摂・分類課題と、(2) DN-CAS認知評価システムでプランニングと同時処理の標準得点が指導初期の予想範囲を有意に上回る結果となった。
考察DN-CASの結果が指導後に上昇したことについては、Lプログラムの指導の内容が対象児のプランニング能力と同時処理能力に影響を与えた可能性があると考えられる。

P07-7

論文ページ

コミュニケーションに課題がある生徒における療育の効果の検討
ー自己調整学習者の育成に向けた言語能力の向上のための療育ー

○横川佳子、河野さおり
TASUC株式会社

概要

【目的】本研究の目的は、言語能力の向上に向けた療育の効果を、単一事例研究法を用いて検討することである。【方法】「読む・書く」を重視した基礎学習と日記を用いて、主語、補語、目的語、述語の四語文の構文と抽象と具体の関係、対立関係、因果関係などの枠組みに沿って詳しく説明する学習を繰り返した。【結果】2年後には、小学2年生程度の漢字を交えた文章を書いたり、読んだりすることができるようになった。また、自ら相手に考えや気持ちを言語化し、相手に伝えようとする様子が見られるようになった。【考察】枠組みに沿って構文する学習を繰り返したことで、気持ちや考えを言語で表現しようとする姿が見られるようになった。

P08：義務教育修了後（高校・大学等・就労）の支援

P08-1

論文ページ

会場のみ 2023年10月8日（日） 16:50～17:20
（ポスター会場：広島国際会議場 B1F 会議運営事務室ロビー）

発達障害のある生徒の進路先における課題と進路先の取組Ⅰ
－適応困難度が高い学生の状況から－

○伊藤由美、榎本容子、小澤至賢、相田泰宏
国立特別支援教育総合研究所

概要

障害のある生徒の高等学校卒業後の進路先での状況及び課題と、課題解決のための進路先の取組、高等学校に期待する進路指導の取組を把握することを目的に、学生支援部署（障害学生支援室または学生相談室）及びキャリアセンターが揃っている大学を500校抽出し、質問紙調査を実施した。調査の結果、課題としては、①心理面の困難、②コミュニケーションの困難、③実行性の困難が多く、高等学校に対する期待は、「本人自身の特性理解」「カリキュラムと本人の特性の兼ね合いを考えた進路指導」「本人の特性や能力に合った進路指導」が多かった。これらの困難さの背景に、高等学校段階までの障害特性の理解不足があることが推察された。

P08-2

論文ページ

障害学生支援室に併設するセンサリールームにおける環境づくりの試み

○高橋由子¹、木下晏里沙³、松尾綾子⁴、松本秀彦⁶、高橋秀俊⁵、上野佳奈子²
1.高知大学学び創造センター、2.明治大学理工学部、3.明治大学大学院理工学研究科、4.明治大学研究・知財戦略機構、5.高知大学医学部、6.高知大学大学院総合人間自然科学研究科

概要

【目的】大学における感覚特性に配慮した基礎的環境整備の一検討として、ニーズとして抽出された囲われ感の高い個人スペースを簡易的な設えによって実現するための手法の有効性を検討した。【方法】ニーズ調査とセンサリールームの印象評価実験を行った。【結果と考察】ニーズ調査より囲われ感の高い環境が求められていること、望まれる設えを把握した。これを受けて、ローパーティション、家具、空間を仕切る布を用いて使用者に選択性をもたせた環境設定を行った。その環境の評価において、満足度の高さが示され、本研究の手法が有効であったことが示唆された。今後は、囲われ感の高い空間とスペース全体の印象の関係の検討が必要である。

P08-3

論文ページ

発達障害のある生徒の進路先における課題と進路先の取組Ⅱ
－適応困難度が高い社員の状況から－

○榎本容子、伊藤由美、小澤至賢、相田泰宏
独立行政法人国立特別支援教育総合研究所

概要

障害のある生徒の高等学校卒業後の進路先での状況及び課題と、課題解決のための進路先の取組、高等学校に期待する進路指導の取組を把握することを目的に、全国の企業を5000社抽出し、質問紙調査を実施した。調査の結果、課題としては、①心理面の困難、 ②コミュニケーションの困難、③実行性の困難が多く挙げられ、その背景要因としては、「本人自身の理解が十分でなかった」という自己理解の問題等が挙げられていた。また、高等学校の取組に対する期待は、「本人の特性に合った仕事の検討」等が挙げられていた。今後、高等学校段階において、自身に合った働き方等、自己理解に関するきめ細やかな指導・支援の充実が期待される。

P08-4

論文ページ

小・中学校と連携した高等学校における通級指導の実践研究

○谷山優子¹、長井耶奈²、古田文³
1.神戸女子大学、2.兵庫県立淡路高等学校、3.兵庫県立あわじ特別支援学校

概要

【目的】兵庫県立淡路高等学校（全日制・総合学科）では、校長のリーダーシップのもと、令和元(2019)年度から通級による指導が始まった。協力校は、県立あわじ特別支援学校である。本研究は、淡路島における小・中学校と連携した高等学校における通級指導の実践について明らかにすることを目的とする。
【方法】特別支援教育の視点に基づく指導方法の工夫を研究していくことを島内全体の学校で進め支援の在り方を考究する。
【結果】就労まで見据えた実践は、小・中学校において、支援の連続性の重要性を共通理解する機会となった。
【考察】幼稚園・保育所と小・中・高等学校の連携で、淡路島全体の特別支援教育が推進されることが明らかになった。

P08-5

論文ページ

大学生の読み書きスキルと学修困難感および学校適応感の関連

○荻布優子、岡野由美子
奈良学園大学人間教育学部

概要

【目的】大学生の基礎的な読み書きスキルと、主観的学修困難感・大学適応感および学業成績の関連について探索的に検討した。【方法】大学生88名にRaWF（高橋ら，2002）より黙読課題・視写課題を集団実施し、学修困難感（LDSP28；高橋ら，2022）・大学生用適応感尺度（大久保ら，2003）・累積ＧＰＡをGoogleフォームにて回答を求めた。【結果】RaWFおよび累積GPAと学修困難感および大学適応感との間に相関はみられなかったが、学修困難感と大学適応感の間では複数の下位項目間で相関がみられた。【考察】大学生の適応感は読み書きのパフォーマンスではなく、児童期から培われた基礎的な読み書きへの苦手意識（読み書きに対する構え）が関与している可能性が示唆された。

P08-6

論文ページ

特別な支援を必要とする大学生への課題提出の締め切り間隔とフィードバックコメントの有無による課題提出数の促進に関する研究

○佐囲東彰
金沢学院大学教育学部

概要

問題：発達障害のある学生は課題提出に困難さを抱えることがあり，合理的配慮として課題の締め切り延長が認められている。しかし，締め切りを延長しても提出できない学生がいる。目的：特別な支援を必要する学生（以下SENのある学生）にとり課題提出数の促進に有効な支援を検討する。方法：課題締め切りの長短（1週間，即日），それに加えフィードバックコメント（以下FBC）の有無による課題提出数を比較した。結果：通常の学生はFBCの有無に関係なく即日締め切りが，SENのある学生は即日締め切りFBC有の条件が課題提出数は多かった。考察：クラスワイドな支援として，課題提出に関して，即日締め切りFBC有は有効な支援になると考えられる。

P08-7

論文ページ

高校通級における個のニーズに応えるグループ指導の方法の検討
障害種別の異なる2人の生徒の共育ち

○武田博子
相愛大学　学生相談室

概要

【目的】高等通級において、実態が大きく異なる2人の生徒のグループ指導の際、「音声言語以外のコミュニケーション手段」「注目」という共通項を活用して、各の目標に向けて指導する方法を検討した。【方法】①音声言語以外の方法でのスピーチ、②注目されるのが苦手な生徒に注目せず、注目してもらいたい生徒に注目する指導、③楽しくて笑いたくなる活動、④作業上のコミュニケーションを仕組んだ活動、⑤分業・協業の活動を行った。【結果】各自のコミュニケーションの課題をそれぞれの方法で解決していくことができた。【考察】グルーピングに際して何を活用してどのように指導していくのか検討することで、効果的な指導ができる。

P08-8

論文ページ

小人数ライティング授業における発達障害のある大学生への作文指導
～文章を全く書けない状態から指導を開始した学生～

○相澤亮雄¹、松本美佳²、森誠子²、幸地英理子²、坂井伸子²、高橋知音³
1.神戸大学、2.九州産業大学、3.信州大学

概要

本研究の目的は、文章作成に苦手さがあり、少人数指導が有効と思われる学生を対象とした授業において、読字・書字課題（RaWF）や読み書き支援ニーズ尺度（RaWSN）、WAIS-Ⅲ、カウンセラー・国語教員の協同による見立てにより、発達障害のある学生について特性を明らかにし、効果的な指導法を検討することである。前半は、ADHDの思考の収拾のつかなさという特性や、ASDの自分の意見のもてなさという特性から、文章作成が難しいという見立てだった。しかし、指導の中で見立てが修正され、指導者は予定していた文章作成の指導方法にこだわりすぎない柔軟な姿勢を持つこと、本人の文章作成の型を否定せずに聞きだした上で指導方法をアレンジすること等が必要だと考えられた。

P08-9

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特別な教育的ニーズがある高校生へのGame-Based Learning
ユニバーサルデザインな「地理総合」の授業づくりの実践

○後藤美穂¹、三浦光哉²
1.山形県立遊佐高等学校、2.山形大学

概要

“選択される”学校である高等学校は実情や生徒の実態が学校間で大きく異なり、それぞれの学校に特別支援教育に関する課題がある。本研究は、小規模高等学校の「地理総合」の授業で、学習活動に必要な基礎学力の定着・向上及び生徒同士の交流を促進させることを目的に、ユニバーサルデザインな授業づくりを実践し効果を検証した。ボードゲームを活用したGame-Based Learning（ゲームベースドラーニング）は生徒のエンゲージメントを高める授業のユニバーサルデザインの1つになる可能性が示唆された。

P09：LD以外の発達障害（ASD・ADHD・DCD等）

P09-1

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会場のみ 2023年10月9日（月） 10:00～10:30
（ポスター会場：広島国際会議場 B1F 会議運営事務室ロビー）

不適応行動を示す自閉スペクトラム症児を対象とした情動調整に関するSSTの効果

○岩本佳世、鈴木伸子、飯塚一裕、吉岡恒生
愛知教育大学

概要

本研究は、不適応行動を示すASD児を対象に、大学教育相談室のプレイルームで情動調整に関するSSTを実施し、その指導効果を検討することを目的とした。対象児は、ASDの小学生3名であった。評価方法は、情動調整方略に関する尺度（村山ら，2017）を用いて、問題解決、認知的再評価等からなる計19項目から構成される質問紙を作成し、4件法で評価した。尺度得点を指導前後で比較した。その結果、事前評価と比較して、事後評価の方が、ASD児は3名中2名がわずかに高くなった。保護者については、3名中2名に尺度得点の向上が認められた。認知的再評価の得点の変化と、日常生活での情動調整方略の使用について考察された。

P09-2

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通所支援事業所の継続利用により社会性及び認知機能の改善を認めた一症例

○小玉武志^{1, 2, 3}
1.北海道済生会みどりの里、2.発達支援事業所　きっずてらす、3.NPO法人　カケルとミチル

概要

【目的】社会性に困難さがあるASD児に対して、小集団を通した支援を行う中で、社会性の改善と認知機能の結果にも大きな改善を示した一症例について報告する。【症例】ASDと診断された男児で、特別支援学級に在籍。【経過】小学5年生より放課後等デイサービスを利用。小集団活動を通して、事業所のルールの理解や他児とのコミュニケーションを学習し、徐々に学校生活でもルールを守って生活することができるようになってきた。【結果】知能検査の結果も改善し、通常通りの学校生活を送ることができるようになった。【考察】小集団活動による継続した支援により、他者とのコミュニケーションの改善から検査結果の向上や生活全般の改善に繋がった。

P09-3

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生後18か月の気質と児童期のASD・ADHDとの関連

○津久井伸明^{1, 2, 3}、土屋賢治^{1, 2}
1.大阪大学大学院連合小児発達学研究科、2.浜松医科大学子どものこころの発達研究センター、3.公益社団法人子どもの発達科学研究所

概要

【問題】生後18ヶ月の気質と，8歳のASD症状，ADHD症状及び併存との関係を調べた。
【方法】生後18か月でのフォローアップと8歳での面接の両方を完了した814名の子どもたちを対象とした。Outcomeを連続変数とした場合，カテゴリカル変数とした場合の両方について回帰分析を実施した。
【結果及び考察】連続変数の場合，気質とASD症状の関連は全て有意であったのに対し，仮説と異なり，Negative AffectとADHD症状との関連は有意ではなかった。一方，カテゴリー変数の場合，Surgency/ExtraversionはADHDのみ群，Negative AffectはASDのみ群及び併存群，Effortful Controlは併存群と，それぞれ有意な関連が見られた。生後18か月の気質は，8歳のASD症状，ADHD症状，及び併存と互いに異なる関連を示すことが明らかになった。

P09-4

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２E者の学齢期からの社会・情緒的な困難と向き合うプロセス
－成人へのインタビューを通して－

○熊谷歩南¹、小倉正義²
1.兵庫教育大学大学院、2.鳴門教育大学

概要

【目的】Gifted特性と発達障害を併せ持つ２E者の社会・情緒的な困難と、その困難と向き合うプロセスを明らかにすることを目的とした。【方法】２E者と考えられるAさんに半構造化面接を行い、複線径路・等至性モデルを用いて分析した。【結果と考察】Aさんは学齢期において、人とのつながりや居場所作りに困難さを感じていた。得意なことや好きなことを共有する機会を得ること、レンズーリの「本物の成果」を得られることが、〈自分の望む環境・社会を選択する〉や〈自分の人間性への否定的なイメージの変化〉といった等至点につながっていた。

P09-5

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知的障害のある自閉症の児童に対する言葉の指導に関する研究
ー「語連鎖・統語」期から「語操作・談話」期への指導ー

○阿部敬信¹、秋山絵理²
1.九州産業大学、2.福岡県立田主丸特別支援学校

概要

本研究では、小学校知的障害特別支援学級第１学年の知的障害に自閉スペクトラム症を併せ有する男児１名に対して、的確な実態把握を行い、その実態に応じた「語操作・談話」期段階への到達を目指した個別の指導を行うことで、対象児の言語・コミュニケーションの力を伸ばすことを目的とした。実態把握として言語・コミュニケーション発達スケール（以下、LCスケール）他を実施し、言語発達の実態を把握した。対象児の実態や興味関心に応じた教材として、品詞カードや絵本のペープサートを対象児とともに制作し、それを用いた遊びを中心とした個別の指導を行った。その結果、事後のLCスケールにおいて有意な指導の効果が認められた。

P09-6

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自閉症児が自らの気持ちや考えを言葉で表現することができる授業づくり
言葉による表現の幅を広げる教材の工夫

○中井健人
広島県立呉特別支援学校江能分級

概要

【目的】自閉症の特徴の一つとして、言葉の発達の遅れが挙げられる。そのため他人との意思の疎通に難しさが生じ、生活において支障をきたすことがある。本実践の目的は、自閉症児が自らの考えを言葉で表現するための教材における工夫の視点を示すことである。【方法】国語科の3領域を意識し、対象児が関心をもって取り組むことができる教材を準備し、単元の最初と最後で表現した言葉を比較する。【結果】表現できる言葉の種類が増えたり、適切な表現の文を書いたりすることができた。【考察】自分の考えを言葉で表現するためには、心理的に安定した状態であり、認識している言葉を自分ごと化する工夫が必要だと考える。

P09-7

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自閉症スペクトラム障害を有する子どもの心を育てる（2）
ASD児の心のバリアをはずす

○樋口和彦¹、渡邉正人²
1.広島修道大学、2.鳥取大学

概要

自閉症スペクトラム障害児（以下、ASD児とする）の有する「A　社会的コミュニケーションおよび相互関係における持続的欠陥」と「B　行動、興味、または限定された反復する様式」の捉え方について検討した。仮説として、ASD児の問題を①障害により社会へのアクセスが阻害されていること、②発達が未熟な状態としてとらえた。それに対する支援は、ⓐ社会へアクセスできるように環境を整えることと、ⓑもっている潜在能力（ポテンシャル）を「育てる」こととして議論した。バリアを乗り越え、他者がASD児の心にアクセスするための方策を検討した。

P10：ICT活用

P10-1

論文ページ

会場のみ 2023年10月9日（月） 10:50～11:20
（ポスター会場：広島国際会議場 B1F 会議運営事務室ロビー）

GIGAスクール構想で実現した1人１台端末によるLD児のノートテイクの変容過程
デジタルノートアプリ「OneNote」を用いた2年間のノート方略の成長

○菊地麻衣子^{1, 2}、内田佳那^{3, 4}、丹治敬之⁵
1.子どもの成長を支援する保護者の会LD分科会千代田DD、2.学び方が違う子の親の会ルピナス、3.兵庫教育大学大学院連合学校教育学研究科、4.日本学術振興会、5.岡山大学学術研究院教育学域

概要

【目的】GIGA端末でノートテイクを始めたLD児のデジタルノートを分析し、端末を効果的に活用するための支援や必要な環境調整を検討した。【方法】対象児の2年間分のノートからノートの取り方の変容過程を記述した。【結果・考察】メモ書き程度のノートから、2年間の試行錯誤により、板書の写真の貼り付けや表機能の活用等、授業内容に合わせたノートテイクへ変容した。一方、国語のような縦書き板書では、デジタルノートテイク特有の難しさが明らかになった。今後、各教科や場面に応じたノートテイクの方略指導、デジタルノートに対応した板書作成、端末を一人ひとりの子どもの学びの手段として柔軟に認めていく環境づくりが求められる。

P10-2

論文ページ

デジタルツインによる動画教材の開発と試行的実践
-知的障害がある児童を対象として-

○立石力斗^{1, 3}、小川拓郎²、宮本聡²、梅崎真理子³
1.近畿大学九州短期大学、2.九州大学、3.九州大学大学院人間環境学府

概要

本研究の目的は、知的障害のある児童を対象とし、宿泊学習の事前・事後学習において、宿泊地への知識を得るとともに、不安感を軽減することができる教材を開発することであった資料は、①レーザースキャナーを使って宿泊学習先の展示、娯楽施設、宿泊施設の一部を３Ｄ実測して仮想空間内にデジタルツインを構築する、②デジタルツイン内をキャラクターが散策する開発した動画教材を、宿泊学習の事前・事後学習で使用し、引率した教師に対してアンケート調査を行った。その結果、移動経路を確認することがあったできる等の効果が認められた、経験の粗さといった技術的な課題も得られた。

P10-3

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読み書きに困難がある児童へのタブレット活用の実践例
～小学校から中学校にかけての経過も踏まえて～

○竹下盛¹、栗本奈緒子¹、水田めくみ¹、奥村　智人¹、西岡有香¹、若宮英司²、竹田契一¹
1.大阪医科薬科大学LDセンター、2.藍野大学医療保健学部看護学科

概要

当センターを受診し、アセスメントの結果、読み書きに困難が認められた児童に学習指導を行った。タブレット利用が有効であると考え、学習指導ではタブレットを用いて読み書きの力をのばすこと、ならびに学習に効率よく取り組めるスキルの獲得を目指した。センターや家庭学習でタブレット活用が効果的であったことから小学校の通常学級でも利用することとなり、現在、中学校でも継続して利用している。小学校高学年より学習課題でタブレットを活用したことが、本児の学習に伴う力をのばし、かつ中学校での合理的配慮の整備を円滑に進めることができた事例について報告する。

P10-4

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特別支援学級と通常の学級の児童における双方向の関係をめざした交流
タブレット端末による「ミュージックビデオ」制作の実践より

○横山由季^{1, 2}、長山弘³
1.広島大学附属東雲小学校、2.広島大学、3.盛岡大学

概要

【⽬的】本研究は，特別支援学級と通常の学級との「双方向の関係」をめざす交流を実現する生活単元学習を開発し，その構成や展開の効果を検証することを目的とした。【⽅法】X小学校知的障害特別支援学級に在籍する３年生の児童２名を対象とし，タブレット端末によるミュージックビデオの制作や発表を実施した。児童の様子を分析して授業効果を検証した。【結果】児童は，人前での発表や友達にタブレット端末の使い方を教えることに達成感を味わうようになった。【考察】日頃の児童の様子を出発点とした本単元の授業デザインと校内における児童が活躍する場の創出が，交流の継続や発展を促し，「双方向の関係」を生成したと推測された。

P10-5

論文ページ

GIGA スクール構想の端末における小中学生のタイピング速度の変化
～ローマ字とタイピングの関係～

○村田美和¹、石原敬久²
1.高崎健康福祉大学、2.高崎市教育委員会

概要

【目的】ＧＩＧＡスクール構想の端末によるタイピング速度が、書字速度と比較して向上しているかどうかを検証する。【方法】公立の小中学校の児童生徒498名を対象とし、２種類のタイピング速度及び書字速度、またローマ字や漢字、アルファベットの書字の様子について調査を行った。【結果】書字速度が学年とともに向上するのに対し、タイピング速度は定期的にトレーニングしている学年が速かった。【考察】書字速度と比較して、タイピング速度の方が、練習の効果が直接的に影響している様子が明らかになった。また、タイピング速度が書字速度を上回る児童生徒はまだ15％未満であり、多くの児童生徒は手書きの方が速いという事が明らかになった。

P10-6

論文ページ

読み書きに困難のある児童生徒への「機能代替アプローチによるタブレットPC活用」理解啓発研修コンテンツの開発

○森山貴史
青森県総合学校教育センター

概要

本研究の目的は，読み書きに困難のある児童生徒への「機能代替アプローチによるタブレットPC活用」に関する理解啓発をねらった研修コンテンツの開発であった。小・中学校教師の課題意識を踏まえて検討した結果，Q&A形式の研修のテーマは，「繰り返し練習すればできる？」「ICTへの苦手意識」「他児への説明」「本人の拒否」「周りの先生への伝え方」「ICT活用をやめるタイミング」「受検でICTを使える？」の７点に集約された。今後の課題として，本研修コンテンツの効果検証の必要性を指摘した。

P10：インクルーシブ教育

P10-7

論文ページ

会場のみ 2023年10月9日（月） 10:50～11:20
（ポスター会場：広島国際会議場 B1F 会議運営事務室ロビー）

異年齢学級におけるインクルーシブ教育の実現
ーThinking at the Edgeによる振り返りを通してー

○海老澤佳輝
日本女子大学附属豊明小学校

概要

日本において「障がい者の権利に関する条約」が批准されて以来、特別支援教育やインクルーシブ教育の充実が図られてきた。しかし、その多くは同年齢で学ぶことが前提になっており、赤木（2021）は「障害児の『障害』を否定的に可視化させる機能を持っている」と指摘している。本実践では、異年齢学級の事例を基に、同年齢と異年齢の集団を経験している児童に対し、調査を実施した。児童の言語化を促す手段としてTAE（Genldkun,2004）を活用し、学習者自身の内面から文章化することを促した。テキストマイニングの結果、全体として異年齢集団を前向きに捉えており、「できない」ことによる不可視化がなされ、多様性を受け入れ協働的に活動する態度が養われたと考えられる。

P10-8

論文ページ

スウェーデンにおける多様な子どもを前提としたインクルーシブ教育
ギフテッド対応を含む特別ニーズ教育の保障

○是永かな子
高知大学

概要

目的はスウェーデンにおける多様な子どもを前提としたインクルーシブ教育について、ギフテッドを含む特別ニーズ教育の観点から分析することである。方法は現地調査である。結果と考察は以下である。第一に、ギフテッド教育の場は通常学級であり、特別学級や特別学校の設置は目指していない。第二に、ギフテッド教育の内容は、全ての子どもを対象とした個別発達計画に基づき、上級学年の教材活用を行っており、上級学年授業への参加可能性もある。第三に、ギフテッドを対象とした補償教育は、課題が顕在化した際に子ども健康チームに検討を依頼する。第四に、日本への示唆として、通常学級内での異課題設定を受容する多様な学習観への転換である。

P10-9

論文ページ

知的障害特別支援学級に在籍する児童へのインクルーシブ体育の実践
―視覚支援を用いた段階的な8の字大縄跳びの指導の効果―

○齊藤嵩之¹、宮崎光明²
1.富山大学教育学部附属小学校、2.富山大学教育学部

概要

知的障害特別支援学級に在籍する児童3名に、校内8の字大縄跳び大会に参加するため、視覚支援を用いた段階的な指導を行った。児童は、縄に入ろうとするが、縄を跳ぶことはできなかった。指導は、①縄を使わず色の付いた足型を順番に動く練習、②棒にぬいぐるみを付け、その足が地面に付いた時にスタートし、棒を跳ぶ練習、③新聞紙縄にぬりぐるみを付け跳ぶ練習、④通常の縄にぬいぐるみを付け跳ぶ練習、⑤通常の縄にぬいぐるみを付けるが足型をなくして跳ぶ練習、⑦通常の縄で跳ぶ練習、⑧反対方向から入って跳ぶ練習をした。結果、3名とも短期間で跳ぶことができるようになり、特別支援学級合同チームで大会に参加し記録を残した。

P11：支援体制（校内・地域等）の構築

P11-1

論文ページ

会場のみ 2023年10月9日（月） 11:40～12:10
（ポスター会場：広島国際会議場 B1F 会議運営事務室ロビー）

通常の学校における作業療法士の校内支援活用プログラムの検討

○山下公司¹、池田千紗¹、岩渕友美²
1.北海道教育大学札幌校、2.札幌市立南月寒小学校

概要

「作業療法士の校内支援活用プログラム」を実施し、通常の学校において作業療法士を活用する方法、その在り方を検討することとした。プログラム開始前にプログラムに求めることや子どもに関して気になることを調査（事前調査）し、プログラム実施後に、感想や意見の自由記述による調査を行った（事後調査）。事前と事後の調査を質的に分析した。その結果、作業療法士の子どものアセスメントを受けて、家庭でもそれを基にした支援を実践したり、保護者が問題だと思っていることもそこに大きな課題がないことを確認でき、子どもとの関わりが変わったりもした。今後も通常の学級における作業療法士の活用が望まれる。

P11-2

論文ページ

通常の学級担任教員に求められる小児期発生の流暢性障害の生徒への配慮と支援
中学校、高等学校段階に焦点をあてて

○川崎知已^{1, 2}
1.千葉商科大学（CUC)、2.筑波大学心理・発達教育相談室

概要

小児期発生の流暢性障害（吃音）のある児童生徒を担当する通常の学級の教員、とりわけ言語障害通級指導学級による指導がほとんどない中学校、高等学校段階の担任教員には，吃音のある児童生徒にどのような教育的な対応や配慮が求められているかについて，吃音があり学童期に通級による指導等を受けていた経験のある成人からの回顧的インタビューによる質的研究を通して探索的に明らかにした。

P11-3

論文ページ

特別支援学校のコーディネーターとスクールカウンセラーとの連携プロセス

○園原慎二¹、飯田順子²
1.埼玉県立草加かがやき特別支援学校、2.筑波大学人間系

概要

本研究では，特別支援学校のコーディネーターとスクールカウンセラーとの連携プロセスを検討することを目的とし，半構造化面接によりスクールカウンセラーと連携した経験がある特別支援学校のコーディネーター16名のインタビューデータを収集し，グラウンデッド・セオリー・アプローチを援用した分析を行った。その結果，両者の連携は，《SC連携をしようと思うきっかけ・ニーズの発掘》を経て，《SC連携の実施》に至り，《SC連携後の変容》があることが示された。特別支援学校のコーディネーターはスクールカウンセラーの活動を支え，特別支援学校におけるスクールカウンセラー活用のキーパーソンとなることが示唆された。

P11-4

論文ページ

発達障害のある子どもが在籍する通常学級への授業コンサルテーションの実態と課題
－コンサルティを対象とした質問紙調査から－

○長山慎太郎¹、岩山カイナ^{2, 3}、米沢谷将^{4, 5}、柘植雅義⁶
1.筑波大学附属大塚特別支援学校、2.大阪府立住之江支援学校、3.広島大学大学院、4.さいたま市立ひまわり特別支援学校、5.兵庫教育大学大学院、6.筑波大学

概要

【目的】本研究では小中学校の教員が、特別支援教育及び発達障害、コンサルテーションを専門とする大学教員や関係機関の研究者から受けた授業コンサルテーションの実態と課題について明らかにすることを目的とする。【方法】小中学校の教員95名を対象として、質問紙調査を実施した。回収率は、68.4％（65名）であった。【結果】コンサルテーションを受けたことが「ある」と答えたのは40名（62.5％）、そのうち最も多かった内容は、行動問題に関することで36事例（90.0％）、次に多かったのは、授業改善に関することで26事例（65.0％）であった。【考察】結果を踏まえて、授業コンサルテーションの実施状況やコンサルティの在り方について考察した。

P11-5

論文ページ

読みに困難がある児童に対する校内支援の実践
MIM-PMアセスメントを用いた検討

○堀越真紀子
鳥取県南部町立西伯小学校

概要

小学校２年生の児童４７名に対して、MIM-PMアセスメントを行い、読みに困難があると判断した児童１８名に対して個別支援を行い、支援の効果を検討した。個別支援を行うことにより、総合点の上昇が見られた。上昇が顕著に見られるのは１０月以降であり、１年間を通した継続した支援が必要である。また、継続的な支援を実施するために、年間計画を年度当初に立て、４月の職員会において全職員で共通理解した。アセスメントの結果や日々の学習状況を担任、個別支援を行う担当者が定期的に話し合い、一人ひとりの実態に合わせた教材を用いて指導を行うことで、より効果的な指導を行うことができた。

P11-6

論文ページ

ポジティブ行動支援に対する教員の態度に関する研究

○澤田佳恵¹、小倉正義²
1.和歌山県立きのかわ支援学校、2.鳴門教育大学

概要

【目的】科学的根拠に基づく実践（EBP）への態度と学校全体で取り組むポジティブな行動支援（SWPBS）への態度との関連について検討する。【方法】2022年5～6月に教員にアンケート【結果と考察】EBPに学校教員が魅力を感じた，新しい実践への開放性が高いと，SWPBSに対する期待感や実践してみたい気持ちに関する児童が高くなったと思われた。記述が多く見られ，PBSの考え方に期待感があると推察できた。、継続的な研修の重要性がうかがわれた。

P11-7

論文ページ

尼崎市版特別支援教育コーディネーターハンドブックの作成と展望
尼崎型インクルーシブ教育システムの構築を目指して

東田直久
尼崎市立武庫東小学校

概要

【目的】尼崎市では、誰もがコーディネーターの役割を果たせるように、『特別支援教育コーディネーターハンドブック』を作成した。【方法】尼崎の実態に合わせた、具体的で取り組みやすい内容になることを心がけ作成した。【結果】ハンドブックを作成したことで、取り組みの指針、意識のベクトルの方向そろえることができた。また、市や校内の支援体制の課題や展望に気付けたことが、成果と言えよう。【考察】社会の流れや、現場のニーズは流動的である。定期的に内容をアップデートしていく必要がある。尼崎型インクルーシブ教育システムのデザインをゴールとし、常に「かゆいところに手が届く」ハンドブックであるよう心がけたい。

P11-8

論文ページ

「発達状況シート」を利用した就学支援相談についての報告
保育カウンセラー^※１の業務を通して開発した「発達状況シート」を就学支援委員会で利用することで、適正な就学支援が可能になった経過報告

○松村千里^{1, 2}、平谷美智夫¹
1.平谷こども発達クリニック、2.大野市児童デイサービスセンターくれよん教室

概要

F県内のO圏域では医療機関が管理運営する発達支援事業所（以後、事業所と略）のスタッフが保育カウンセラーとしてO圏域内の全子ども園・保育園・幼稚園（以後、園と略）の巡回相談を担当している。巡回相談で使用した「認知・行動・社会性・身辺自立面等の発達状況を確認するチェックシート（以後「発達状況シート」と略）を就学支援委員会の就学資料としても活用することで、園と母子保健と療育機関と医療機関の情報を就学支援委員会が共有することができた。結果、適正就学の精度向上と関係者の就学相談に係る労力の軽減に効果があった。本研究は、「発達状況シート」を就学支援に活用できるようになった経緯を中心に報告する。

P11-9

論文ページ

自校で通級指導を受ける児童生徒等への養護教諭の個別支援の現状と課題
－小・中学校の養護教諭に対する質問紙調査から－

○留目宏美¹、岩本佳世²、藤井和子¹
1.上越教育大学、2.愛知教育大学

概要

【目的】自校で通級指導を受ける児童生徒とその保護者に対する養護教諭の個別支援の現状と課題を明らかにした。【方法】X県の小・中学校養護教諭に質問紙調査を行い，自校に通級指導教室が設置されていると回答した58名を対象とした。【結果】養護教諭の個別支援の実施度は最頻値が「4 全く行っていない」であったが，保健室利用なしに比べ，利用ありの児童生徒に対し，個別の保健指導および健康相談を行っていた。【考察】養護教諭の個別支援があまり実施されていなかった要因として役割意識の不十分さ等が考えられる。養護教諭の力量向上とともに，保健室を利用しないが心身の不調等を抱えながら通級指導を受ける児童生徒の把握が期待される。

P11-10

論文ページ

多様な学びを支える私立中学高等学校における個別の指導計画の実践
ーIEP作成運用システム「ステラプラン」の活用ー

○宮﨑悦子¹、西永堅²
1.学校法人星槎星槎中学高等学校、2.星槎大学大学院教育学研究科

概要

本校では、生徒の個々の実態を踏まえ、生徒一人ひとりのIEPを作成し、日々の継続的な取り組みと評価を行っている。新たにIEP作成運用システムを導入し、IEPを継続的に運用することで、生徒自身が課題や目標を理解し、前向きに取り組むことができるように全校において実践した。教員においては、システムによって従来よりも短時間で質の高いIEPを作成することができており、システムの導入が有効に働いている結果が見られた。また生徒の自己評価が教員・保護者へ即時に共有され、生徒の取り組みの努力を視覚的に捉えることができ、従来よりも生徒・教員・保護者の三者間での目標に対する共通理解を持つことができた。

P12：ユニバーサルデザイン

P12-1

論文ページ

会場のみ 2023年10月9日（月） 12:30～13:00
（ポスター会場：広島国際会議場 B1F 会議運営事務室ロビー）

特別支援教育の専門性を教員全体のUD意識の向上につなげる校内体制の構築
特別支援教育担当グループからの取組による教員のUD意識の変化

○寺尾祥訓
静岡市特別支援教育センター

概要

A小学校では、特別支援教育の高い専門性を有する教員を中心に、授業や生活のUDにつながる通常学級担任の授業技術や指導技術を共有し合いながら教員全体のUD意識を高め、子供たちの「学びやすい環境づくり」につなげる研究を進めている。また、特別支援教育の高い専門性を有する教員による通常学級のソーシャルスキルトレーニング等の出前授業も積極的に行っている。これらの取組により子供たちのわかりやすさにつながる授業技術や指導技術がUD視点で可視化され、教員全体のUD意識の向上と学校の安定につながっている。

P12-2

論文ページ

算数授業の理解を高めるユニバーサルデザイン授業づくり研究
－教科書の専門性と特別支援教育の観点の両方を記載する指導案フォーマットを用いて－

○髙橋瑞輝、鈴木恵太
岩手大学

概要

本研究では，公立小学校３年の１学級を対象とし，教科書の専門性と特別支援教育の観点の両方を記載する指導案フォーマットを用いたUD授業実践を行った。実践では，対象学級の行動/学習面の実態把握をもとに、主に３つの領域（環境の工夫/情報伝達の工夫/活動内容の工夫）から支援方針を立て実践した。結果として、児童の振り返りには学習の方法や成果，次の学びへの活用に関する記述がみられ，本実践が児童の主体的な授業参加を促すことが示唆された。また，単元テストの結果からは正答率の平均が90%を超えていたことから，本単元の学習内容の準備が考えられた。

P12-3

論文ページ

学習に困難のある高校生への意欲・自信を持たせる学習支援
～「学びのユニバーサルデザイン」をベースにしたスモールステップでのカリキュラム構築～

○岡修¹、芹澤健二¹、川俣智路²
1.東京共育学園高等部、2.北海道教育大学

概要

【目的】様々な特性のある生徒へ、学びのユニバーサルデザインを活用した。３年間のカリキュラムによって、主体的に学べることを目的とした。
【方法】タブレットの利用、一貫した学習・教科書・資料集・ネットの利用など、多様な代替手段を事前に提示し、自分のやりやすい方法で学習を進めた。
【結果】学年が上がっていくにつれ、自分に合ったやり方で学習していることが分かった。
【考察】学びのユニバーサルデザインの活用や繰り返し学習することで、主体的な学習につながったものと思われる。

P12：福祉

P12-4

論文ページ

会場のみ 2023年10月9日（月） 12:30～13:00
（ポスター会場：広島国際会議場 B1F 会議運営事務室ロビー）

放課後等デイサービスにおけるソーシャルスキルトレーニングの成果
〜友達と誘い合い遊ぶことができるようになった事例を通して〜

○鋒山智子、中井沙織
花ノ木医療福祉センター児童発達支援センター

概要

【目的】放課後等デイサービスの場面でソーシャルスキル指導を行い、児童が友達を誘う力の変化につながった成果検証をおこなった。【方法】放課後等デイサービスで実施するプログラムにおいて、グループ構成、プログラム内容、職員の配置・関わり方に特に配慮を行い、小グループで遊びに関わるソーシャルスキルトレーニングを実施した。【結果】年度当初は、自由遊びで友達と関わる際に大人の援助が必要な場面が多かったが、年度終わりには、自ら友達と相互的に関わり、学んだスキルを他の活動場面で使うことができるようになった。【考察】構成的な場面で対人スキルを知識として身につけ、年度後半に集団ゲーム等の非構成的な場面でスキル発揮の機会を設ける流れを作ったことが、児童の自信になり、自ら友達と関わっていく姿につながったと考える。

P12-5

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文字習得の意欲を支える活動

○津﨑智代、松本真寿美
社会福祉法人花ノ木　花ノ木医療福祉センター

概要

（目的）読み書きについて、10人未満の小集団、就学早期の介入の成果検証を行った。（方法）音読等の評価、指導記録をもとに協議・分析した。（結果）音韻、音読について、スモールステップを設定、できる、少しの援助でできる課題を積み重ね、1音1文字を確かなものにできた。書かなくてもよい設定とし、作文の取り組みへの抵抗を軽減、読みの習得が書くことへのステップとなり自信持って書き、発表できるようになった。(考察)自分で『できた』と実感できる、褒めてもらえる課題設定、小集団の仲間と文字のゲームやすごろくなどを楽しむことで、文字への抵抗感・嫌悪感少なく取り組むことができ、文字習得に繋がった。

P12-6

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社会福祉施設を利用する気になる子どもの実態把握
自傷・他害行動、友だちとの関わり方に焦点を当てて

○永冨大舗¹、茶圓美里²
1.鹿児島国際大学福祉社会学部、2.鹿児島国際大学福祉社会学研究科

概要

本研究はX市内に設置されている、保育園・認定こども園、児童発達支援センターや放課後等デイサービスを行う事業所、児童クラブ施設を対象に、どのような行動面の特徴や友だちとの関わり方を示す子どもに対して支援を行っているのか、どのような専門性の確保が求められるかを明らかにした。その結果、回答を得られた子どもの27％に診断はないものの、言語面で説明するや要求することが苦手で、友だちが少ない、1人で過ごすなどの発達障害の特性を強く示す子どもが多いことが明らかになった。

P13：保護者・きょうだい等家族支援

P13-1

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会場のみ 2023年10月9日（月） 13:20～13:50
（ポスター会場：広島国際会議場 B1F 会議運営事務室ロビー）

思春期の不登校の子どもを抱える保護者への支援プログラム
テキストマイニングによる継次的変化

○高橋靖子¹、松本有貴²、南谷則子³
1.愛知教育大学、2.徳島文理大学、3.千葉大学

概要

本報告の目的は，CBT による不登校生徒保護者プログラム実施の経過を振り返り，QOL向上の手がかりについて検討することである。第2回と第6回のセッションにおける，参加者，特にASDのある子どもの母親の発言を取り上げ，テキストマイニングによって比較検討した。プログラム後半では参加者の発言量や感情語が増加していた。

P13-2

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神経発達症を抱える不登校児の保護者が求める社会的リソースの分析
保護者のインタビューから

○小林克巳¹、榎本拓哉²
1.東海学院大学大学院、2.徳島大学大学院社会産業理工学研究部社会総合科学域人間科学系

概要

【目的】不登校と神経発達症の関係は深いと思われる。そして、不登校問題では家庭への支援は重要である。保護者にインタビューし、保護者が必要とする支援を明らかにすることを目的とした。【方法】半構造化面接を行った。【結果】M-GTAで分析した。保護者は、障害に対する受容と不安の両方を抱えつつ、他者に理解してもらうことの困難さにも直面していた。また、情報収集に対する困難さや連携の不十分さも述べられた。【考察】神経発達症を抱える不登校児にとっては、他児が当たり前にこなしていることが負担となっている。今後は①理解を深めること、②連携の専門職を配置すること、③支援への誘導・連携の仕組みを整備すること、必要ではないか。

P13-3

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自閉スペクトラム症児を養育する母親の障害認識の変容過程
―養育レジリエンスの観点から―

○永田真吾¹、大出千夏²
1.山梨大学、2.栃木県立国分寺特別支援学校

概要

【目的】
自閉スペクトラム症児を養育する母親の障害認識の変容過程と養育レジリエンスの関連について明らかにし，保護者支援の一助とすること。
【方法】
自閉スペクトラム症児を養育する母親6名に，養育中の子どもの周産期から現在までの子育ての中で感じたことや考えたことに関してインタビュー調査を実施し，子どもを妊娠したときから障害を認識する過程を複線径路・等至性モデル(TEM)で分析した。
【結果及び考察】
障害認識の促進要因は支援者からの言葉，阻害要因は家族間の意見の不一致や専門家の関わり方，障害特性の理解の難しさが挙げられた。保護者支援において，母親への共感的な関わりが求められることが示された。

P13：研修・専門性の維持向上

P13-4

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会場のみ 2023年10月9日（月） 13:20～13:50
（ポスター会場：広島国際会議場 B1F 会議運営事務室ロビー）

特別支援学校の特別支援教育コーディネーターの資質向上研修プログラムの検討
ワークショップ型研修「特別支援学校のコーディネーターは、こうでないと！」の実践から

○田中雅子
北海道教育大学

概要

Ａ県特別支援学校の特別支援教育コーディネーターを対象とした研修会でワークショップ型研修「特別支援学校のコーディネーターは、こうでないと！」を開催した。特別支援学校のコーディネーターの経験が浅い教員も含め、研修参加者を対象にワークショップ型研修を通して「特別支援学校コーディネーターが抱えている困難を解決するためには、どうしたらよいか」を協議した。本研究は、特別支援学校の特別支援教育コーディネーターの資質向上を目的としたワークショップ型研修の報告である。

P13-5

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UDLガイドラインを参考にした授業改善をめざす研修の実装
福岡UDL実践研究会での研修の成果と課題

○納富恵子¹、西山久子²
1.下関市立大学、2.福岡教育大学

概要

【目的】UDLガイドラインを、小学校・中学校での授業改善に活用することを目的に実施した研修の内容について報告し、成果と課題について考察を行う。【方法】報告者らが主催する福岡UDL実践研究会で、令和3・4年度の2年間で計6回行った研修内容を記述し分析する。【結果】令和3年度はUDL導入に活用できる先駆的な例としてIT先進国エストニアでの教育事情を共有し、実践報告として中学校英語科での実践報告と、さらにコンサルテーションを通じての、他教科である社会科での広がりについて実践報告を行った。令和4年度は、インクルーシブ教育をめざす日本でのIＣＴ活用、小学校校長経験者の組織的なUDL実践の推進,本研究会が契機となった小学校算数科での実践報告であった。【考察】先進事例の報告や国内での実践事例とその成果の報告を継続することで、研修受講者から優れた実践が生まれ、実践報告が継続する好循環が生まれた。

P13：その他（SST）

P13-6

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会場のみ 2023年10月9日（月） 13:20～13:50
（ポスター会場：広島国際会議場 B1F 会議運営事務室ロビー）

社会性、コミュニケーションに課題のある子ども達への小集団リハビリ導入の試み
～年齢、特性に合わせた年間プログラムを用い、多職種協働で～

○中村純子^{1, 2}、岩井有香^{1, 2}
1.東浦平成病院、2.リハビリテーション科

概要

個別リハビリテーションでの対大人とのコミュニケーションや活動は可能だが、園・学校での同年代集団では難しい子に対して、実際的な場でのリハビリテーションの必要性を感じ、コミュニケーション能力、社会性の伸長を目的とし、年齢、特性に合わせた5人以下の小集団リハビリテーション6クラスを設置した。設置において臨床心理士、言語聴覚士、作業療法士、理学療法士が協働して、年間目標、計画、プログラムを作成し実施した。結果、子ども達は高い意欲で参加し、気持ちの切り替え、他者への意識、集団への帰属意識、コミュニケーションへの積極性、自己肯定感等に良い変化がみられ、個別リハビリテーションとの間に相乗効果を認めた

P13：その他（学生（中学・高校・大学等）の支援）

P13-7

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会場のみ 2023年10月9日（月） 13:20～13:50
（ポスター会場：広島国際会議場 B1F 会議運営事務室ロビー）

発達障害やその傾向のある中高大学生に対するオンラインSSTにおけるストレスコーピングをテーマとしたグループワークの取り組み

○加藤幹人^{1, 3}、飯塚朱里^{1, 3}、小田原真弓^{1, 3}、佐藤七瀬⁴、佐藤亮太郎^{1, 3}、横田里子^{1, 3}、熊谷恵子^{2, 3}
1.筑波大学人間総合科学学術院、2.筑波大学人間系、3.筑波大学心理・発達教育相談室、4.桜花学園大学保育学部

概要

筆者らは、発達障害、およびその傾向のある中学生から大学生までを対象としたオンラインSSTにおいて、「自己理解」や「金銭管理」等、毎回異なる生活場面をテーマとして取り上げ、話し合い活動を行っている。本研究では、その中でストレスコーピングをテーマとして実施した話し合い活動の実践報告と、効果を検討することを目的とした。グループワークを通じてシェアリングを行ったことで、多角的に別の対処法を他の参加者から得ることができていた。一方で、参加者の年齢差や、ストレスに感じる場面の内容によっては、他の参加者が想像しにくくなる場合があり、スタッフが内容の意訳を行う等、フォロー体制を作っておく必要があると考えられた。

P13：その他（通級による指導）

P13-8

論文ページ

会場のみ 2023年10月9日（月） 13:20～13:50
（ポスター会場：広島国際会議場 B1F 会議運営事務室ロビー）

通級指導教室の新設に伴う課題や通級指導担当教員の負担に関する調査
奈良県内通級指導担当教員を対象に

○安里健志
大和高田市立浮孔西小学校

概要

【目的】小中学校通級指導教室を学校内に新設する際の課題や担当教員の負担の具体を明らかにする。
【方法】奈良県内の小中学校通級指導担当教員を対象とし、通級指導教室新設に係るアンケートを実施した。
【結果】小中学校通級指導担当教員の半数以上が新設に携わり、約8割の教員が困ったことが「あった」と回答した。困った内容で最も多かったのが「施設・設備」、次いで「指導する児童生徒の決定」、「備品・教材等の予算」だった（重複回答有）。また、多くの教員が新設時にはじめての通級指導担当となったと回答した。
【考察】新設に際し、ハード面とソフト面で課題が確認された。これら課題を共有し、解決策を検討することが必要である。

プログラム

ポスター発表（P）

P01：アセスメント

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会場のみ 2023年10月8日（日） 11:00～11:30 （ポスター会場：広島国際会議場 B1F 会議運営事務室ロビー）

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P02：読む・書く1

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会場のみ 2023年10月8日（日） 11:50～12:20 （ポスター会場：広島国際会議場 B1F 会議運営事務室ロビー）

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P03：読む・書く2

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会場のみ 2023年10月8日（日） 12:40～13:10 （ポスター会場：広島国際会議場 B1F 会議運営事務室ロビー）

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P04：聞く・話す

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会場のみ 2023年10月8日（日） 13:30～14:00 （ポスター会場：広島国際会議場 B1F 会議運営事務室ロビー）

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P04：計算・算数

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会場のみ 2023年10月8日（日） 13:30～14:00 （ポスター会場：広島国際会議場 B1F 会議運営事務室ロビー）

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P05：英語

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会場のみ 2023年10月8日（日） 14:20～14:50 （ポスター会場：広島国際会議場 B1F 会議運営事務室ロビー）

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P05：感覚・運動（視覚、聴覚、不器用）

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会場のみ 2023年10月8日（日） 14:20～14:50 （ポスター会場：広島国際会議場 B1F 会議運営事務室ロビー）

P05-5 論文ページ

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P06：就学前の支援

P06-1 論文ページ

会場のみ 2023年10月8日（日） 15:10～15:40 （ポスター会場：広島国際会議場 B1F 会議運営事務室ロビー）

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P06：義務教育期（小・中学）の支援1

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会場のみ 2023年10月8日（日） 15:10～15:40 （ポスター会場：広島国際会議場 B1F 会議運営事務室ロビー）

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P07：義務教育期（小・中学）の支援2

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会場のみ 2023年10月8日（日） 16:00～16:30 （ポスター会場：広島国際会議場 B1F 会議運営事務室ロビー）

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P08：義務教育修了後（高校・大学等・就労）の支援

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会場のみ 2023年10月8日（日） 16:50～17:20 （ポスター会場：広島国際会議場 B1F 会議運営事務室ロビー）

P01-1

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会場のみ 2023年10月8日（日） 11:00～11:30
（ポスター会場：広島国際会議場 B1F 会議運営事務室ロビー）

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会場のみ 2023年10月8日（日） 11:50～12:20
（ポスター会場：広島国際会議場 B1F 会議運営事務室ロビー）

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会場のみ 2023年10月8日（日） 12:40～13:10
（ポスター会場：広島国際会議場 B1F 会議運営事務室ロビー）

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会場のみ 2023年10月8日（日） 13:30～14:00
（ポスター会場：広島国際会議場 B1F 会議運営事務室ロビー）

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会場のみ 2023年10月8日（日） 13:30～14:00
（ポスター会場：広島国際会議場 B1F 会議運営事務室ロビー）

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会場のみ 2023年10月8日（日） 14:20～14:50
（ポスター会場：広島国際会議場 B1F 会議運営事務室ロビー）

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会場のみ 2023年10月8日（日） 14:20～14:50
（ポスター会場：広島国際会議場 B1F 会議運営事務室ロビー）

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会場のみ 2023年10月8日（日） 15:10～15:40
（ポスター会場：広島国際会議場 B1F 会議運営事務室ロビー）

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会場のみ 2023年10月8日（日） 15:10～15:40
（ポスター会場：広島国際会議場 B1F 会議運営事務室ロビー）

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会場のみ 2023年10月8日（日） 16:00～16:30
（ポスター会場：広島国際会議場 B1F 会議運営事務室ロビー）

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会場のみ 2023年10月8日（日） 16:50～17:20
（ポスター会場：広島国際会議場 B1F 会議運営事務室ロビー）

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会場のみ 2023年10月9日（月） 10:00～10:30
（ポスター会場：広島国際会議場 B1F 会議運営事務室ロビー）

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