第65回シンポジウム開催にあたって
実行委員長 樋田一徳
(川崎医科大学解剖学・大阪大学超高圧電子顕微鏡センター)
この度、公益社団法⼈ ⽇本顕微鏡学会では、第65回シンポジウムを令和4年11⽉5⽇(土)〜11⽉6⽇(日)の期間、川﨑祐宣記念講堂(川崎学園・川崎医療福祉大学内:岡山県倉敷市)において開催させて頂きます。
メインテーマは『 微と美の調和 ~Beautiful Harmony~ 』です。
会期の2日間で、非会員の招待講演者と会員講演者による2つの生物系セッション、2つの非生物系セッション、2つの合同セッション、そして1つの公開講座を企画しており、初⽇には基調講演と合同セッション、2日目には風⼾奨励賞受賞講演、そして公開講座を開催します。
基調講演は英国 Oxford ⼤学の Zoltán Molnár 教授(Head of Neuroanatomy at the Department of Physiology, Anatomy & Genetics, Fellow of St. John’s College)にお願いし、数百年の伝統と歴史の解剖学の流れの中で、顕微鏡がいかに応用されているかをご講演いただき、今後の電子顕微鏡学の可能性を、専門分野を超えて参加者とともに考えたいと思います。
初日午前に行われる合同セッションでは、顕微鏡を用いた遠隔地間解析“Network Tele-Microscopy”を、また技術革新が目覚ましい “超微構造解析へのFIB技術”について、生物系・非生物系の垣根を超えた講演と討論を行います。
生物系セッションでは、クライオ電子顕微鏡を中心に、“解析の進展”と“全国共同利用体制”について紹介いただきます。非生物系セッションでは、三次元ナノ解析を目的とした“装置”および“材料”科学の面からの可能性を論じていただきます。
2日目午後に行われる公開講座では、“脳―身体連関を読み解く顕微鏡解析の最前線”と題して、会員・非会員の専門家のみならず一般市民にも参加を呼びかけます。これはJSPS学術変革領域「グリアデコーディング」との共催です。
若手の研究者を中心にポスターセッションも企画します。会期を通じた展示に加え、2日目には個別発表もおこなってもらいます。
更に期間中、顕微鏡学に関する最先端の情報を提供して頂くため、企業展⽰ブースやランチョンセミナーを設けさせて頂く予定です。
ここで特にご案内したいのは、倉敷市にある有名な大原美術館とのコラボレーションです。会期中の同館の入館割引や初日の懇親会を同館メインホールにて名画の前で行うことが実現します。 “美こそ真実。 Beauty is Truth.”と教わり、それを目指してきましたが、微細な世界に真を探る我々が、人類が生んだ美をどのように見るか。お楽しみにしてください。
なお前日の11月4日(金)朝より本シンポジウム初日開催直前まで、JSPS日本カナダ先端分析顕微鏡合同セミナー(第3回日本カナダ国際シンポジウム)も行われます。こちらは参加無料となっておりますので、11月3日(木)文化の日から倉敷へおいで頂き、両シンポジウムにご参加いただければと思います。
全ての企画において、専門分野の垣根を越えた学術交流を目的としておりますので、万障お繰り合わせの上、ご参加いただきますようお願いいたします。実りある有意義なシンポジウムとなりますよう、実⾏委員⼀同、気力を充実させ着々と準備を進めながら、より多くの皆様のご参加を⼼よりお待ち申し上げます。
令和になって間もなく、新型コロナウイルス感染拡大が世界中の人々を悩ませ、社会は混乱しています。しかし、どのような困難に直面してもあらゆる方面で解決に向けて皆動いています。“積年学を修めるのは、ひとえに困難を克服するため”と私は思います。顕微鏡学は“見えないものを見る”人類の探求ですが、私たちに出来うる知恵の創出と日々の努力が、科学技術の発展に寄与するだけでなく、困難を克服する基礎となり、次世代の人材を育成すると確信します。
本シンポジウムは昨年に引き続き、三密の回避、飲⾷・懇親のマナーを念頭に、シンポジスト、参加者、協賛企業の皆様に最⼤限に配慮した対⾯型シンポジウムの開催に向け、実⾏委員会⼀同準備を⾏っております。このような状況下ではございますが、新型コロナウイルス感染が1⽇も早く終息し、皆様と直接お会いできますことを切に願っております。