プログラム

教育講演（EL）

EL01

【研究との連動による教育実践】

コーディネーター:玉木宗久（国立特別支援教育総合研究所）

オンデマンド

研究との連動による教育実践

〇山森光陽¹
1. 国立教育政策研究所

概要

この教育講演では，「研究との連動による教育実践」の今後のあり方を，「エビデンスにもとづく教育」，再現性問題，オープンサイエンスに関する動向を踏まえ，研究知見の内的妥当性と外的妥当性という2側面から議論する。研究と連動した教育実践を推し進めるためには，因果関係を確信を持って示せる程度と別文脈に対する結果の適用可能性の高さが求められる。この要請を踏まえた研究と実践の新たな在り方を示したい。その上で，「研究との連動による教育実践」を逆向きに展望し，「教育実践との連動による研究」の在り方を見通し，教育研究，教育実践の両者を豊かにする研究者と実践者のコミュニティづくりの必要を指摘したい。

EL02

【研究との連動による教育実践】

コーディネーター:涌井恵（国立特別支援教育総合研究所）

オンデマンド

発達障害児・者の自己調整学習

〇伊藤崇達¹
1. 九州大学大学院人間環境学研究院

概要

ニューノーマルの時代が進行する中，「個別最適な学び」の実現が理念として謳われている。「主体的学び」の重要性がますます増してきており，「自己調整学習」に関する研究が，今，すべての人に求められる学びのあり方を考えていく上で，重要な示唆をもたらしている。本講演では，「発達障害児・者の自己調整学習」をテーマとして，まず，自己調整学習とは何かについて概説を行い，３つの心理的側面からなること，そして，循環的かつ螺旋的なサイクルがその本質であることについて論じる。とりわけ，発達障害児・者に焦点を当てた近年の研究動向に関するレビューをもとに，今後の実践の可能性について探る。

EL03

【学びへのアクセス】

コーディネーター:海津亜希子（国立特別支援教育総合研究所）

オンデマンド

発達障害のある者の大学入試と配慮について

〇上野一彦¹
1. 東京学芸大学

概要

わが国の大学入試センターで実施している大学入試は「共通一次試験」，「大学入試センター試験」，そして2021年度から実施の「大学入学共通テスト」と受け継がれてきている。障害のある者への特別措置（現在は「配慮」）は「共通一次試験」から導入されてきているが、2011年、それまでの，①視覚障害，②聴覚障害③肢体不自由④病弱・その他というカテゴリーに「発達障害」が加えられた。この度の「大学入学共通テスト」への移行においても配慮は継続され、さらなる広がりをみせている。今後の課題としては，マークシートという解答方法だけでなく記述解答への新たな対応や，さまざまなIＣＴ機器の導入などへの検討も急がれている。

EL04

【学びへのアクセス】

コーディネーター:土屋忠之（国立特別支援教育総合研究所）

オンデマンド

学びを支える文房具とICT

〇杉浦徹¹
1. 東北福祉大学教育学部

概要

いわゆる発達障害のある児童生徒の、主に学習に生じる困難さを軽減するツールとして、PC、タブレット端末等を活用した基本的な支援方法と文房具を紹介した。特別支援教育の理念の浸透と相まって、これらのツールを活用を促進することでインクルーシブ教育システムが広く広がり、目指す共生社会の基盤になると考えられる。

EL05

【学びへのアクセス】

コーディネーター:滑川典宏（国立特別支援教育総合研究所）

オンデマンド

「障害のある子供の教育支援の手引き」及び「個別の支援計画の参考様式」について
～一人一人きめ細かな教育支援に向けて～

〇佐々木邦彦¹
1. 文部科学省高等教育局専門教育課専門職大学院室長 /前初等中等教育局特別支援教育課特別支援教育企画官

概要

障害者権利条約の批准を踏まえ、障害のある子供の就学先決定の仕組みに関する学校教育法が２０１３年９月に改正されてからはや８年が経過した。学校教育法施行令第２２条の３に規定する程度の障害のある子供が、原則特別支援学校に就学する仕組みから、子供一人一人の障害の状態等を十分検討し、保護者や専門家等の意見を踏まえて小中学校又は特別支援学校のいずれかを総合的に判断する仕組みとなり、その就学に当たっての参考となる資料として、文部科学省から示されたものが「教育支援資料」であったが、特別支援教育の量的、質的拡充が進む中、就学相談や学びの場の検討に当たって、さらにきめ細かい支援を図るために改訂され、本年６月に、新たに「障害のある子供の教育支援の手引」として示された。加えて、これと同時に、教育支援の核となる個別の教育支援計画の一層の活用、共有の観点から「個別の教育支援計画の参考様式」について通知がなされた。これらの企画・立案に携わった発表者が、改訂や策定の背景とともに、これらが特別支援教育の現在抱える課題とどのようにかかわっているかを論じる。

EL06

【二次的な障害の予防に向けて】

コーディネーター:伊藤由美（国立特別支援教育総合研究所）

オンデマンド

発達障害の二次的な障害

〇渥美義賢¹
1. 由比ヶ浜こころのクリニック

概要

【略歴】東京医科歯科大学医学部神経精神医学教室
国立特別支援教育総合研究所
大阪体育大学
関東学院大学
由比ヶ浜こころのクリニック

EL07

【二次的な障害の予防に向けて】

コーディネーター:廣島慎一（国立特別支援教育総合研究所）

オンデマンド

矯正教育における特別支援的アプローチ

〇山下嘉一¹
1. 多摩少年院首席専門官

概要

精神障害等に係る診断基準の改訂や法整備，発達障害者に対する理解が進んできたことなどを背景に，近年，医療措置を必要としない在院者を対象とした一般的なカリキュラムを置く少年院にも，発達障害の診断又はその傾向が指摘された少年の送致が増えており，過去の虐待や不適切養育などの保護要因の欠如を背景とした二次的障害を生じている者もいる。
　こうした在院者には，自立の基盤となるべき自己理解，自己受容が十分に進んでいないなど，円滑な社会復帰を困難せしめる要因が少なくない。少年院における処遇の軸の一つである矯正教育における，在院者の特性とニーズに応じた特別支援的アプローチについて紹介する。

EL08

【切れ目ない支援】

コーディネーター:吉川和幸（国立特別支援教育総合研究所）

オンデマンド

幼児期を生ききることとつなぐこと

〇滝口圭子¹
1. 金沢大学

概要

報告者は，幼小接続（全ての施設，機関を含む幼児期の教育と小学校教育との接続）に携わってきたこともあり，主として「幼児期の教育と小学校教育の切れ目のない支援」に焦点を当て，これまでの経験を踏まえながら私見を述べた。行政に対しては小学校に引き継ぐ情報の整理と統合について，療育機関に対しては保育施設・幼児教育機関との療育内容及び保育内容の共有について，小学校に対しては保育施設・幼児教育機関からの情報の活用について，保育施設・幼児教育機関に対しては小学校就学への執着の抑制とそのことを可能にする同僚性のあり方について指摘した。

EL09

【切れ目ない支援】

コーディネーター:榎本容子（国立特別支援教育総合研究所）

オンデマンド

学校卒業後を見据えた支援
自己理解と進路選択に焦点をあてて

〇知名青子¹
1. 障害者職業総合センター研究部門（障害者支援部門）

概要

多くの若者は、学校を卒業すれば何らかの形で仕事に就くことになる。しかし、現代の若者全般の問題として、仕事や自立に対する意識について具体的な検討がないまま職業選択に臨むといったことがある。それに加えて、発達障害の特性がある場合には、障害特性や職業能力を含む適性を吟味するための機会は、十分に設けられていない。
本講演では、最近の発達障害のある若者を取り巻く就職の問題や、職場定着の問題を取り上げ、学校在学時に必要となる自己理解や職業準備について検討する。

EL10

【施策動向】

コーディネーター:笹森洋樹（国立特別支援教育総合研究所）

オンデマンド

国の発達障害に関する教育施策

〇加藤典子¹
1. 文部科学省初等中等教育局特別支援教育課

概要

ここ近年、全児童生徒数が減少傾向にある中、特別支援教育の対象となる児童生徒数は増加傾向にあり、特別支援教育のさらなる充実が求められています。中でも、自閉症・情緒障害特別支援学級在籍児童生徒や通級による指導を受けている発達障害のある児童生徒が増加しています。
このような状況を踏まえ、知的な遅れのない発達障害を含めて、特別な教育的支援を必要とする幼児児童生徒への指導・支援の充実が不可欠となっています。
今後の特別支援教育の在り方について、「新しい時代の特別支援教育の在り方に関する有識者会議報告」や現在の教育施策について解説します。

EL11

【施策動向】

コーディネーター:井上秀和（国立特別支援教育総合研究所）

オンデマンド

厚生労働省における発達障害者支援施策について

〇加藤永歳¹
1. 厚生労働省社会・援護局

概要

2005（平成17）年4月に発達障害者支援法が施行されてから16年が経過した。この間、様々な発達障害に係る施策が展開され、また教育・福祉・医療・労働等、分野や領域を超えて発達障害支援が重要なキーワードとなっていった。発達障害を取り巻く社会状況も大きく変化し、16年前は子どもの早期発見・早期支援がトピックの中心であったが、子どもを支える地域資源が少しずつ充実していく中で、学齢期、青年期、成人期、そして高齢期へとフォーカスもより幅広くなってきている。今回は、現在厚生労働省が進めている発達障害者支援施策について、その概要をお伝えする。