プログラム

特総研リレー（TR）

TR01

【幼児教育】

コーディネーター:吉川和幸（国立特別支援教育総合研究所）

オンデマンド

乳幼児期の発達障害：就学までの支援の在り方

講師：原仁¹
1. 社会福祉法人青い鳥小児療育相談センター

概要

発達障害は生得的な障害であるが、その特性によって不適応の現れ方が異なっている。わが子にまったく不都合を感じていない保護者もいれば、些細な差異に気づき思い悩む方もいる。支援の前提として、それぞれの特性を適切に把握し、気づきを促す働きかけが必要となる。早ければ早いほど良いわけでなく、それぞれに適正な気づきの時があるのだ。本講演では、①知的障害の前駆状態としてのGlobal Developmental Delay (GDD)とはなにか、②自閉スペクトラム症幼児における排泄自律の困難への支援、③発達性言語障害と学習障害の関係について解説する。

TR02

【初等教育】

コーディネーター:玉木宗久（国立特別支援教育総合研究所）

オンデマンド

通級による指導における担当者の役割

講師：小林倫代¹
1. 国立特別支援教育総合研究所名誉所員

概要

通級による指導の担当教員は様々な内容の仕事をしているが、最も大切な仕事として、子どもへの指導がある。その遂行には障害に関する知識、発達に関する知識、そして特別支援教育に関する知識が必要である。また、関係機関や在籍学級の担任との連携・調整するスキルも必要とされる。さらに保護者と関わる際には、保護者の状況に応じて対応していくことが求められる。通級による指導開始前後の保護者への対応と、通級による指導に馴れた頃の保護者との対応は異なってくることが予想される。通級開始直後では、信頼関係の構築と保護者への支援が重要であり、通級による指導に馴れた頃には、保護者との連携や協働というかかわりが大きくなると考えられる。

TR03

【初等教育】

コーディネーター:神山努（国立特別支援教育総合研究所）

オンデマンド

初等教育：通常の学級での支援

講師：梅田真理¹
1. 宮城学院女子大学

概要

通常の学級での支援には、障害だけでなく様々な困難を抱えた「多様な子ども」がいる。そのことを念頭に置き、互いの違いを認め合える学級集団づくりをすることが、支援の基本となる。その上で、個々の特性に応じた個別の支援が必要となる。しかしこの個別の支援は、学級担任だけが行うものではなく、学校組織として、教員がチームで行うものである。学級担任は、子どものつまずきに対する気づきをチームにつなげ、チームの一員として必要な支援をともに考えるという意識をもつことが大切であろう。

TR04

【中等教育】

コーディネーター:土屋忠之（国立特別支援教育総合研究所）

オンデマンド

二次障害に陥った発達障害のある子どもの認知的評価とストレスコーピング

講師：武田鉄郎¹
1. 和歌山大学教育学部

概要

心身症等二次障害に陥った発達障害のある中高生のストレス対処過程を一般の高校生と比較・検討しその特性を明らかにすると共に、支援の在り方を検討することを目的とした。ストレス対処過程における特性として、心身症等二次障害に陥った発達障害のある中高生の群は、高校生の群の生徒と比較して「抑うつ・不安」と「不機嫌・怒り」「身体症状」との間に強い正の相関関係がみられるなど特有な結果が得られた。また、認知的評価の脆弱性が顕著であった。例えば、積極的にコーピングしようとすると身体症状が顕著になり、サポートを他者に求めようとすると不安が高くなる傾向が見られ、ストレスの緩衝効果が適切に得られない状況に陥っていることが明らかにされた。このような生徒の支援の在り方について事例研究を通して検討した。

TR05

【中等教育】

コーディネーター:廣島慎一（国立特別支援教育総合研究所）

オンデマンド

思春期とレジリエンス

講師：植木田潤¹
1. 宮城教育大学教職大学院

概要

発達障害のある思春期生徒は，自己愛の傷付きに脆弱で，同世代他者との接近･接触によって心は大きく揺さぶられることは避けがたいが，それらの情緒的な揺らぎに耐え，時には失敗から学ぶことを可能とするには，他者との情緒的な繋がりを基盤としたレジリエンスを高めていくことが期待される。言語-非言語の交流を通じた対話によって，障害特性から生ずる「生きづらさ」や「学びづらさ」が，現実生活の中にどのように立ち現れるのかを知り，それに向き合い，受け容れること，すなわち「特性の自己理解」を支援者と共有する過程を通じて「レジリエンス」を高めていくことが，発達障害のある思春期生徒への指導･支援の焦点であると演者は考える。

TR06

【高等教育】

コーディネーター:井上秀和（国立特別支援教育総合研究所）

オンデマンド

高等教育等における障害学生支援

講師：佐藤克敏¹
1. 京都教育大学教育学部

概要

特総研に在職していたのは15年ほど前のことになる。特総研に在職していた時期に研究として取り組んでいた内容には、知的障害教育研究部において後期中等教育における知的障害や学習障害等の生徒への取組みに関する調査研究、高等教育機関における発達障害のある学生への支援の現状に対する調査研究、知的障害のある人の生涯学習における支援プログラムに関する調査研究等がある。当時から考えると後期中等教育や高等教育における発達障害のある生徒や学生への支援の取組みはかなり発展し、研究も多くみられるようになった。ここでは前述した内容について当時の研究の経緯や結果について現段階と比較しながら紹介し、今後の課題を整理する。

TR07

【ライフステージ横断】

コーディネーター:真部信吾（国立特別支援教育総合研究所）

オンデマンド

ライフステージに通じたICT活用による学習支援
コロナ禍を契機に教育のパラダイムシフトを

講師：落合俊郎¹
1. 広島大学大学院人間社会科学研究科附属特別支援教育実践センター　客員研究員

概要

学習指導要領改訂前に2030年までの日本の様々な危機と解決策が検討され,新学習指導要領において「社会に開かれた教育課程」の実現が掲げられた。新学習指導要領の全面実施が開始されようとしたとき,世界的なコロナ禍で多くの困難に直面した。対処策としてGIGAスクール構想実現の加速が行われ,児童生徒へのパソコンの配布が急激に進んだ。第四次産業革命へのGIGAスクール化だけでなく,突如生じた学校現場における様々な危機を解決するためのツールとして，ライフステージに通じたICT活用,「社会に開かれた教育課程」の実現と教育のパラダイムシフトの必要性について述べる。

TR08

【総論】

コーディネーター:滑川典宏（国立特別支援教育総合研究所）

オンデマンド

インクルーシブ教育への移行を急ごう

講師：柘植雅義¹
1. 筑波大学人間系障害科学域知的･発達･行動障害学分野

概要

「１．「特総研」での２回の勤務の思い出から」で、初代所長の辻村泰男の言葉の現代的な再認識の必要性、と、私が1回目の研究所勤務で体得した基本的な考えであり、現在までずっと大切にしているものを紹介する。次に、「２．2001年から始まった特殊教育から特別支援教育への転換で、実現できたこと、できなかったこと」で、実現できたことは多々あるが、実現できなかった最大の問題は、この20年の間にインクルーシブ教育への移行が実現できなかったことである、という事実を紹介する。最後に、「３．障害者権利条約が求めているインクルーシブ教育への移行に向けて」で、移行に向けた具体的な設計と工程の作成に着手し、関係者が皆で具体的なアクションを起こそう。