日本陸水学会 第81回大会

課題講演

課題講演の発表申し込み

  • 課題講演は一般講演と並行して行われます。
  • 課題講演での講演を希望される方は,7月11日~7月20日の期間中に,直接コンビーナーに連絡を取ってお申し込み下さい。また、同期間中に,ご自身で大会参加申込みを行って下さい。
  • 課題講演の演者は,7月11日~ 7月20日の期間中に,ご自身で大会参加申込みを行って下さい。

課題講演

(1)課題講演題目:地球温暖化が高地湿原生態系尾瀬ヶ原に及ぼす影響の陸水学的課題

 

略称:温暖化影響下の尾瀬ヶ原

 

坂本充 (名古屋大学・滋賀県立大学 名誉教授)

E-mail: lacus_msakamo@hera.eonet.ne.jp,電話: 04-7136-7957

          岩熊敏夫 (北海道大学 名誉教授)

E-mail: toshio.iwakuma@nifty.com,電話: 090-1850-2240

 

群馬・新潟・福島県境の高地に位置する尾瀬ヶ原は、火山性砂礫上の河川後背地に発達した泥炭湿原である。冷温、多雨の環境下、植物遺体堆積により形成された泥炭湿原生態系として,学問的重要性とともに、多様な景観美から、国立公園特別保護地域として保護されてきた。近年、地球温暖化に原因する豪雨による洪水で湿原が覆われる機会が増え、それによる湿原生態系の変化が懸念されている。この懸念をふまえ、平成27年末から、第4次尾瀬総合学術調査検討委員会で学術的検討が進められている。本課題講演では、この学術的検討で明らかにされた温暖化影響下の尾瀬ヶ原湿原の陸水学的課題を論じ、今後の調査研究の方向性を明らかにする。講演は学術的検討参加者による講演とともに、検討に参加されてない学会員からの講演、討論を期待する。申し込み者多数の場合は、企画主旨に沿った講演、討論に限定される。

 

 

(2)課題講演の題目:環境DNAを用いた陸水生態系における生物モニタリング

 

略称:環境DNA

 

源利文(神戸大学大学院人間発達環境学研究科)

E-mail: minamoto@people.kobe-u.ac.jp,電話:078-803-7743

辻冴月(龍谷大学大学院理工学研究科)

E-mail: satsuki.may425@gmail.com,電話:077-544-7113

 

環境水中には、そこに生息する様々な生物由来のDNAが含まれており、それらを総称して環境DNAと呼ぶ。近年では、この環境DNAを利用して、魚類や両生類といった大型脊椎動物の分布や生物量などを少量の水から把握する手法の開発が盛んに行われ、新たな生物モニタリングツールとして目覚ましい発展を遂げている。本課題講演では、環境DNAを陸水生態系における生物モニタリングへ適用した最新の研究成果を報告し、課題や手法の応用について参加者らと議論したい。

 

 

(3)題目:河川内プロセスによる生元素の生物地球化学的循環と下流・沿岸域への輸送動態

 

略称:河川の生元素動態

 

岩田智也(山梨大学生命環境学部)

E-mail: tiwata@yamanashi.ac.jp,電話:055-220-8339

中野大助(電力中央研究所)

E-mail: d-nakano@criepi.denken.or.jp,電話:04-7182-1181

 

河川は陸域から沿岸域への物質輸送の導管として機能するだけでなく、生物代謝や堆積物との相互作用を通じて生元素を取り込む働きをもつ。水中から取り込まれた生元素の一部は生物群集や堆積物中に保持・隔離され、あるいは食物網中を上位栄養段階へと転送されていき、再び分解されて水中へと回帰する。このように取り込みと放出を繰り返しながら生元素が流下していく過程は、栄養元素のスパイラルと呼ばれている。この河川内プロセスによる有機物生産や栄養塩除去、炭素隔離、食物網への栄養転送は河川の生物多様性を支える基盤となるだけでなく、下流河川や湖沼および沿岸域への生元素フラックスを調節する役割をも果たしていると言われている。しかしながら、河川内プロセスによる生元素の生物地球化学的循環を評価した研究は国内では少なく、水系ネットワークが有する生態系機能を十分には把握できていないのが現状である。本課題講演では、国内河川を対象に生態系代謝や非生物過程によって駆動する炭素、窒素、リンなどの生元素動態(流出、同化、吸着、沈殿、堆積、変換、異化、排出、分解など)に関する研究成果を講演し、国内河川の物質代謝機能について情報交換を行う。さらに、それらの成果を統合しながら河川が陸ー川ー海結合システムの物質循環に果たす役割について考察したい。学会員からの関連研究の講演申し込みを広く募集する。

 

 

(4)課題講演の題目 Internationalizing Limnology

 

略称:Internationalizing Limnology

 

Jay Piggott University of Otago, Dunedin, New Zealand

E-mail: jeremy.piggott@otago.ac.nz

 

Nisikawa Usio Kanazawa University, Kanazawa, Japan

E-mail: usio@se.kanazawa-u.ac.jp,電話:076-264-6211

 

This session aims to provide a platform for Japanese and non-Japanese limnologists to present their research in English to enhance international impact and foster international collaboration. Studies in any field of limnological sciences will be welcome as long as they are presented in English. At the end of the organised session, we are planning to discuss the possibility of proposing a special feature for Limnology.