日本学校心理士会2021年度大会
大会テーマ:コロナ禍の中での学校心理士の役割

ご挨拶

コロナ禍の中での学校心理士の役割

 はじめに、この度の新型コロナウィルス感染症により亡くなられた方へのご冥福を心よりお祈り申し上げます。また、罹患された方々、並びにご家族、関係者の皆様に謹んでお見舞い申し上げます。そして、日夜、感染防止と治療に当たられていられる医療機関、行政機関の方々にも深く感謝申し上げます。さらに、本会会員の皆様におかれましては、感染症対策などで大変な状況の中で活動している方もいると思います。是非ご自愛くださいますようお祈りいたします。

 日本学校心理士会2021年度大会をオンデマンド方式にて開催することになりました。コロナ禍という現在の状況によりオンデマンド方式で開催することになりましたが、10年、20年後にはこのような現在の状況も昔話となるでしょう。しかし、現在の子どもたちを取り巻く環境は、どう贔屓目で見ても明るいと言えるものではありません。

 ある幼稚園の先生が、これまでの子どもたちは行事を通して年長さんとしての自覚が生まれて成長し、小学校に入学していましたが、今はその機会がないまま卒園してしまう現状に無力感を感じると仰っていました。「もうすぐ1年生になるのだから」という言葉で、プレッシャーをかけないように心掛けているというお話から、大人でさえ閉塞感を感じる現状で、様々な学びの機会を失うことによって受ける子どもたちの不安について考えさせられました。

 今年度は、ビデオを介しての非接触、間接的な交流が多く、小学校最終学年である6年生の児童が、下級生の代表として活躍する場が減っただけでなく、中学校での体験授業なども中止になっています。このような状況であるからこそ、学校心理士の役割を再考しなくてはならないと強く感じます。

 学校心理士には、小・中、高等学校、特別支援学校に勤務されている方、相談員(含むSC)等として子どもたちの援助を担当されている方など、学校現場で活躍されている方々が多数いらっしゃいます。日本学校心理士会2021年度大会では「コロナ禍の中での学校心理士の役割」と題し、コロナ禍における子どもたちの不安感や困難感に学校心理士・准学校心理士としてどのように向き合うか、より専門的な視点を交えて、子どもたちへの支援のあり方についてご示唆をいただく予定です。

 マスクをしないで生活できたのはいつか、もう遠い過去のように思いますが、コロナ禍が過ぎた世界はどのようなものになるのでしょうか?

 『コロナが落ち着いたらこんなことしたいね』という絵を学校で子どもたちが描いていたので、見せてもらいました。最初は恥ずかしがっていましたが、そこには、期待に満ち溢れた、子どもたちが創造した明るく楽しい未来が広がっていました。2021年度大会では、子どもたちの未来を皆で作り上げようという決意を持ち、子どもたちに描いてもらった絵をホームページの背景にさせて頂きました。

 知識だけではない体験となる学びが一日も早く戻ることを願う一方、このような難しい時期だからこそ、学校心理士・准学校心理士の専門性が必要とされる場面が増えています。本大会を通して、同じ学校心理士・准学校心理士の仲間とともに、学びを深めて頂くことを強く願っています。講師をお引き受けいただいた先生方をはじめ、本大会の開催に向けてご尽力頂いた皆様に感謝申し上げ、ご挨拶とさせていただきます。

日本学校心理士会 2021大会 準備委員会
委員長 山谷 敬三郎(日本学校心理士会 会長)