各研修講座詳細は【概要】をクリックすると表示されます。
また、各研修講座は2時間ずつとなります。
(時間が長いため、オンデマンド配信ページ上では、講座動画は数本ずつに分かれて掲載となります)
研修①
【領域】
学校心理学
【テーマ】
コロナ状況下でのコミュニケーションに関する課題について
ー これまで~現状~これから ー
【講師】
松浦 均(三重大学)
【概要】
新型コロナウイルス感染拡大により社会全体の様相に大きな変化が生じた。感染拡大防止の対策のため、子どもたちや学校現場においてコミュニケーションの様相は様変わりした。2年前や昨年の状況を思い返してみると、2022年の現在の社会はある程度コロナ以前の状態に戻りつつあるようにも見えるが、感染防止対策は継続中であり、人々の心の底にある不安が払拭されたわけではない。明るいニュースが少ない中、この先、晴れやかな未来が来そうという状況でもない。まだまだ先が見通せない現状を踏まえながら、改めて学校における子どもたちの心理やコミュニケーション上の課題を確認し、これからの社会の在り方を考えていきたい。
研修②
【領域】
教授・学習心理学
【テーマ】
自己調整学習と動機づけの支援に向けて
【講師】
伊藤 崇達(九州大学)
【概要】
いま学校現場では、「令和の日本型学校教育」という理念のもと、個別最適な学びと協働的な学びの実現をめざして学習指導が進められている。本講座では、児童・生徒の「自己調整学習」の成立と動機づけの支援に向けた実践のあり方について検討を行う。自己調整学習、すなわち、「主体的・対話的で深い学び」のプロセスにおいては、とりわけ「メタ認知」「自律的な動機づけ」「積極的な行動」が鍵を握っている。子どもたちが自ら学習を調整しながら学んでいくことを支えるにあたり、どのような「指導の個別化」と「学習の個性化」のあり方が求められるのかについて、教授・学習心理学の観点から検討を深めることとしたい。
研修③
【領域】
発達心理学
【テーマ】
児童・生徒の学校適応・学校移行を支援するキャリア教育
【講師】
若松 養亮(滋賀大学)
【概要】
日本でキャリア教育が導入されて20年近く経過したが、その趣旨の共通理解は進まず、実践例の蓄積もあまり系統立っていない感がある。「キャリア」とは「職業」領域や「働く」場面に限らない「生き方」、すなわち児童・生徒にとっては「学び方・過ごし方」と言えるものである。キャリア教育とは、幼児教育期という早い時期から社会的自立に向けて、「学び方・過ごし方」をより良くするための能力・態度を養うものとされている。したがって、学校生活をよりスムーズに有意義に過ごすための開発的な生徒指導の意味合いをもつものとも言える。本研修ではキャリア教育の基礎的な理念から実践例を系統立てて紹介する。
研修④
【領域】
臨床心理学
【テーマ】
学校心理士が行う「予防・開発的カウンセリング」の理論と実践
【講師】
藤井 義久(岩手大学)
【概要】
これまで学校現場ではともすれば何か問題が起きてから改善や解決を目指す「事後対応中心」の「問題解決的カウンセリング」が中心であった。しかし、今後、「いじめ」や「不登校」をはじめとする様々な問題が年々深刻化する一方の学校においては、学校心理士が中心となって、すべての教職員が一丸となって、すべての児童生徒を対象に、問題の未然防止を目的とした「予防・開発的カウンセリング」をもっと積極的に推進していくことが求められている。
そこで、本研修では、諸外国における取組や各種研究成果について紹介することを通して、学校心理士が学校において「予防・開発的カウンセリング」(事後対応中心から未然防止中心へ)を行っていくために必要とされる実践能力の向上を図ることを目的とする。
研修⑤
【領域】
心理教育的アセスメント
【テーマ】
WISC-VとKABC-IIの理解と活用について
【講師】
三浦 光哉(山形大学)
【概要】
知的障害児や発達障害児等のアセスメントや認知特性を理解する上で、WISC-ⅣやKABC-Ⅱの個別検査が活用されている。また、今年は、WISC-Ⅴが刊行され、その検査内容やKABC-Ⅱとのクロスバッテリィーの解釈も注目されている。本講座では、WISC-ⅣとWISC-Ⅴとの違いや、新たな下位検査項目である「バランス」「パズル」「絵のスパン」「数唱・数整列」について説明する。そして、KABC-Ⅱでは、認知と習得の2つの解釈と、特に学習障害(LD)に視点を当てた「読み」「書き」「算数」について説明する。さらに、2つの個別検査から共通するCHC理論を踏まえ、教育現場での活用の仕方についてお話しする。
研修⑥
【領域】
学校カウンセリング
【テーマ】
家庭に困難をかかえる児童生徒への支援
【講師】
野田 正人(立命館大学)
【概要】
2023年4月には「こども家庭庁」が開設され、子どもの生活基盤である家庭に関する行政の枠組みが大きく変更されることになる。一方で、児童福祉法や児童虐待防止法、子どもの貧困対策推進法、義務教育確保法など、家庭に関するが生徒指導や教育相談にも深く関わる法令の制定や改正が続き、社会的にも児童虐待やヤングケアラーなどが大きく取り上げられるなど、学校が考慮すべき事項もますます増えている。このような変化を背景とした、これからの生徒指導・教育相談について検討する。特に制度を理解し、現状を分析し、行く末を模索する機会としたい。
研修⑦
【領域】
特別支援教育
【テーマ】
発達障害児の認知行動面に基づく支援
【講師】
霜田 浩信(群馬大学)
【概要】
発達障害の子どもへの支援として、ただ表面的なつまずきに気づくだけではなく、「なぜつまずくのか」といった背景・原因をさぐり、その背景・原因に基づいて支援を構築していくことが学校心理士には求められます。本講座では、このつまずきの背景を発達障害の子どもにおける認知行動特性から捉え、支援例について紹介します。発達障害の子どもが苦手としやすい、情報源への注意の切り替え、プランニング、ワーキングメモリによる行動、自分を客観視したうえでの修正、感情のコントロール、他者の感情や状況の理解、情報の統合等を例として、「なぜつまずくか」の視点を持つことが支援の工夫につながることを解説します。
研修⑧
【領域】
生徒指導・教育相談・キャリア教育
【テーマ】
思いやりのある学級集団づくり-共感と感謝に着目してー
【講師】
蔵永 瞳(滋賀大学)
【概要】
学校は他者と関わる機会の多い場です。その中で子どもたちは、他者から思いやりを受け、自身もまた他者を思いやる経験を重ねます。そこでの経験は、将来子どもたちが支え合い、助け合える社会を築いていく上で重要な学びとなります。
本研修では、学級という集団に着目し、その集団の中で思いやりを育むための方法について考えます。具体的には、思いやりに関連深い心の仕組みとして「共感」と「感謝」という感情を取り上げ、それらの感情の特徴や、思いやりとの関係について解説します。思いやりに関して子どもたちの心理を理解し、子どもたちの素質を伸ばす視点に立ち、学級運営の中でそれらの感情を扱う際の工夫や注意点について考えていきます。
SV研修①(SV研修I)
【テーマ】
学校心理士と倫理
【講師】
河合 優年(武庫川女子大学)
【概要】
研究倫理教育の必要性がさけばれるようになって長い年月が経っています。今日では、研究者だけでなく、学部教育の段階から倫理教育をすることが望ましいとされるようになってきています。
この講義では、倫理観とはなにかという問題から議論を始め、学校心理士という現場と密接に関係を持つ実践家が持つべき倫理観とは何か、実践活動や実践的研究における倫理的問題について考えます。子どもや保護者と接する時にどのような点に気を付けなければならないのか、見落としがちなピットフォールを例にあげながら一緒に考えてゆきたいと思います。
SV研修②(SV研修II)
【テーマ】
学ぶことは生きること〜子どもの姿と子どもの権利〜
【講師】
副島 賢和(昭和大学)
【概要】
病気や障害がある子供達の教育の必要性を尋ねられると、「必要です。たとえ病気でも障害があっても、教育は大切です。」と言われます。しかし、実際にそのような子供達を目の前にすると「元気になったらおいで。今は、ゆっくり休んでね」と言われます。慢性の病気を抱えていたり、障害があったり、何度も入退院をすることで傷ついていたり…でそうできない子に対しても。私たち病弱教育に携わる者は、そんな子供達に、治療のエネルギー、社会や学校に復帰し生活をしていくためのエネルギーを貯めるというかかわりを、教育(遊びや学び)を使い、多職種と連携をしながらおこなっています。その知見がコロナ禍の状況にいる子供達にも活かせると思うのです。一緒に考えていただけると嬉しいです。
准士研修 准学校心理士研修
【テーマ】
幼児期における発達支援
【講師】
小林 玄(東京学芸大学)
【概要】
2007年に特別支援教育が開始されてから15年以上が経過し、通常の学級を含めた学校教育の中に個の教育的ニーズに応える意識は高まったと言えます。しかし小中学校の義務教育年限の前後である就学前と高等学校以降は、まだまだ特別支援教育の体制整備が十分とは言えない状況にあります。幼小中高の各段階の移行において、段差を作らない支援を展開していくことは喫緊の課題と言えるでしょう。 本講座では、通常の保育の場における発達障害の理解と支援について解説します。発達のアンバランスさから生じる困難さや、日常的な保育活動における支援の工夫や保護者支援について述べ、保育者と学校心理士がどのように連携をとればよいか考えていきます。