各研修講座詳細は【概要】をクリックすると表示されます。
また,各研修講座は2時間ずつとなります。
(時間が長いため,オンデマンド配信ページ上では,講座動画は数本ずつに分かれて掲載となります)
研修①
- 【領域】
- 学校心理学
- 【テーマ】
- 不登校児童生徒への支援の在り方について
-教育機会確保法と改訂版生徒指導提要を受けて- - 【講師】
- 伊藤 美奈子(奈良女子大学)
2022年度の国の報告によると,不登校児童生徒数は過去最高となり,とくに小学校段階での増加が顕著であった。本研修では,まず,不登校をめぐり「不登校というだけで問題とみなさない」「多様な学びの保障が大切」という支援の方向を示した教育機会確保法と,すべての子どもたちを対象とする発達支持的生徒指導を重視した改訂版生徒指導提要の両面からお話ししたい。また,学校に行けない(行かない)子どもたちの気持ちを共有するとともに,不登校をアセスメントする難しさや支援の具体について解説する。その際,とくに学校現場に求められるチーム支援や多職種との連携の在り方,さらには保護者への支援などについて取り上げる予定である。
研修②
- 【領域】
- 教授・学習心理学
- 【テーマ】
- 学習方略の研究知見から効果的な学びを考える
- 【講師】
- 出口 毅(山形大学)
すべての学習者の可能性を引き出す学びの実現を目指し,新しい時代における学校教育の姿が提言されている。これからの学校教育では,主体的に学習が進められるよう,学習者が自分にふさわしい学習方法を模索する態度の育成が重要である。そのためには,学習者が自ら適切に学びに取り組んでいけるよう,教師による指導を工夫することが求められる。本講座では,学びを効果的に進めていくための方法である「学習方略」の研究知見を中心に取り上げながら,学習方略の使用に影響する諸要因を示し,学習者が自らの学びを自覚的に進めていくために有効な手立てや教師によって学習の改善を促す実践のあり方などについて,教授・学習心理学の観点から検討してみたい。
研修③
- 【領域】
- 発達心理学
- 【テーマ】
- 社会情緒的(非認知)能力の育ちと支援
- 【講師】
- 利根川 明子(国立教育政策研究所)
近年,経済学分野における,乳幼児期の子どもたちへの早期介入による長期的効果に関する実証研究などを皮切りに,知能検査や学力検査で測られる力"以外の"子どもたちの力について注目が寄せられている。そうした力は,「非認知能力」または「社会情緒的能力」などと表現され,例えば,自分自身を大切にしたり,人とうまく関わったり,自分の気持ちを上手く調整しながら物事に取り組んだりするといった力を総称する言葉として使われている。本研修では,子どもたちの「社会情緒的(非認知)能力」の内容と発達について概観し,学校や家庭における支援のあり方について検討を深めることとしたい。
研修④
- 【領域】
- 臨床心理学
- 【テーマ】
- 生徒指導提要が求める「教科の指導と生徒指導の一体化」とは
-発達支持的・課題予防的生徒指導の授業実践から考える- - 【講師】
- 町 岳(静岡大学)
新しい生徒指導提要では,「未然防止・早期発見」により重点が置かれ,すべての児童生徒を対象に,教科の指導と生徒指導を一体化させた授業をすることが求められている。しかし,その授業を実践するのは簡単ではない。本講座では,まず教科の指導と生徒指導を一体化させた授業の意義と難しさについて解説する。次に発達支持的生徒指導として,「子どうしのかかわり合う力」に焦点を当てたA区学校教育相談部の10年間の授業実践を,また課題予防的生徒指導として,「感情制御の力」に焦点を当てた心理教育プログラムの授業実践を紹介する。2つの異なる階層における実践例から,教科の指導と生徒指導を一体化させた授業を実現するための考え方や方法を学んでほしい。
研修⑤
- 【領域】
- 心理教育的アセスメント
- 【テーマ】
- 知能検査結果から支援へ繋ぐ-アセスメント・フィードバック・支援の実際
- 【講師】
- 永田 真吾(山梨大学)
日々の生活や学習に苦戦している子ども達にとって,その苦戦している理由を理解し援助に繋げていくことは,子どもが目の前の問題を解決すること,ひいては自立と社会参加に向けてポジティブに関わっていくことに重要なポイントとなってきます。本研修では,子どもの苦戦している理由を探るためのKABC-ⅡやWISC-Ⅳ/Vによるアセスメント結果を解釈すること,そしてフィードバックや援助の方法について解説します。特にLDやASD等発達障害のある児童生徒の事例を通して,一人ひとりの状態に応じたICT活用による支援・合理的配慮といった,子どものエンパワーメントの視点から援助について一緒に考えていただきたいと思います。
研修⑥
- 【領域】
- 学校カウンセリング
- 【テーマ】
- コロナ禍後の不登校支援を考える
- 【講師】
- 伊藤 亜矢子(聖学院大学)
コロナ禍を経て,不登校の全国的な増加が指摘されています。学校には多くの支援者がおり,支援の機会も多いなど,予防も含めて子どものメンタルヘルスを支える潜在的な力があるはずです。いつの時代も変わらない子ども達の心の発達課題や学校で躓きやすい点など,不登校支援の基本となる事項を踏まえながら,保護者への支援を含めて,学校という場を活かした支援やその進め方について考えられればと思います。また,コロナ禍で加わった新たな課題や教育環境,求められる不登校支援についても考えたいと思います。
研修⑦
- 【領域】
- 特別支援教育
- 【テーマ】
- 多様なニーズのある子どもの理解と支援について-ナチュラルサポートをめざして-
- 【講師】
- 小田 浩伸(大阪大谷大学)
小中学校等の通常の学級には,発達障がいの可能性,愛着形成の課題,学力・認知面の課題等が複合化し,認知的不協和が生じて,行動や対人関係,学習面に影響を及ぼしている子どもが多く見受けられます。こうした多様なニーズのある子どもの実態と教育課題を踏まえた心理教育的援助が学校心理士に求められています。本講座では,学校における教育課題の中から,「インクルーシブ教育に必要な合理的配慮と基礎的環境整備」,「障がい等のある子どものストロングポイントを生かした指導・支援」,「安心できる集団づくり」,「わかる授業づくり(ユニバーサルデザインの視点を活かした授業改善)」等の考え方と具体的な工夫や方法について解説します。
研修⑧
- 【領域】
- 生徒指導・教育相談・キャリア教育
- 【テーマ】
- 学校・学級が変わるポジティブ行動支援
- 【講師】
- 松山 康成(東京学芸大学)
改訂版生徒指導提要では,教員による不適切な指導の問題が明記され,適切な指導・支援の重要性が指摘されています。そのような中でポジティブ行動支援は,当事者のポジティブな行動(本人のQOL向上や本人が価値あると考える成果に直結する行動)をポジティブに(罰的ではない肯定的,教育的,予防的な方法で)支援するための枠組みを提供します。また,個人の行動のみを標的とするのではなく,その周囲の人々,あるいは周囲の人々を取り巻く様々な状況も分析とアプローチの対象と捉え,持続的な成果を生み出すための仕組みづくりを目指していきます。本研修では学校におけるポジティブ行動支援による多層的な支援と,その実現のための学級環境・学校環境づくりの実際について,事例に基づいて紹介します。
SV研修①
- 【領域】
- SV研修Ⅰ
- 【テーマ】
- 学校をめぐる法律問題
- 【講師】
- 篠原 健(弁護士・あわ共同法律事務所)
平成25年に「いじめ対策防止推進法」が成立、施行され10年近くが経過しました。
本研修での1つのテーマとして、いじめられた側・いじめた側・学校側などいじめ事
件でそれぞれの立場で弁護士が関わる場合の視点を説明し、皆さんにはその上で弁護
士の利用法・対処法を考えていただきたいと考えます。また、もう1つのテーマとし
て学校の中でのハラスメント問題と対処法をお話しいたします。実社会ではハラスメ
ントのニュースが取り上げられないことはない位です。残念ながら、学校の中でもハ
ラスメントの問題が起きてしまうことは避けられません。その予防法や起きた場合の
対処法などをお話しいたします。
SV研修②
- 【領域】
- SV研修II
- 【テーマ】
- 学習支援における学校心理士SVの課題と対応
- 【講師】
- 小野瀬 雅人(聖徳大学)
学校心理士SV(以下SV)は学校心理士の「上位資格」に位置づけられています。その役割は,学校心理士資格申請時のスーパーバイズ,学校心理士会員へのスーパービジョン,研修会講師,となっております。そこで,SV有資格者は,学校心理士資格の「上位」資格者として,学校心理学の内容,領域,方法についての基礎知識を踏まえ,より高度な専門知識,実践能力,研究能力を持つ必要があります。今回の研修では,学習支援という狭い範囲ではありますが,私自身が,SVとして,学校(大学を含む)における学習支援ニーズの捉え方,それを踏まえたコンサルテーション,研修支援の他,研究支援で取り組んできたことを事例として紹介し,学習支援にはどのような課題があり,それを乗り越えるために何を補う必要があるのかについて述べたいと思います。
准士研修 准学校心理士研修
- 【テーマ】
- 特別な配慮が必要な子どもの理解と支援 -日常の支援をケースレポートにまとめる方法を踏まえて
- 【講師】
- 三浦 巧也(東京農工大学)
准学校心理士から学校心理士を目指される先生方や,これから学校心理士を目指される先生方や学生等のみなさんにとって,受験のためにケースレポートを作成することはハードルが高いでしょう。中でも「アセスメント」については,専門的な知識や技量が必要だと思われている方も多くおられると思います。加えて,子どもの認知面や発達面のアセスメントのために,知能検査や発達検査等,主に専門機関で実施される検査の結果を記述しなければならないと思い,益々資格獲得へのモチベーションが下がってしまう可能性も否めません。そこで本講座では,「適応」をキーワードに,まず,日々の保育・学校現場における子どもの行動や言動,情緒(心理)的な反応を整理する方法についてお伝えいたします。次に,市販されているチェックリスト(ASIST学校適応プロフィール)を用いて「適応」に対する支援ニーズの程度について説明します。最後に,アセスメントを元にした支援計画の立案方法を紹介します。