日本組織細胞化学会 第65回日本組織細胞化学会総会・学術集会
  • 会長松﨑利行(群馬大学大学院医学系研究科 生体構造学 教授)
  • 会期2024年10月26日(土)~27日(日)
  • 会場群馬大学医学部(〒371-8511 群馬県前橋市昭和町3丁目39-22)
日本組織細胞化学会 第65回日本組織細胞化学会総会・学術集会

教育講演

第65回日本組織細胞化学会総会・学術集会では下記、教育講演を企画しました。
教育講演に限り現地での講演に加えて、ライブ配信、会期終了後のオンデマンド配信をおこないます。
教育講演に参加された皆様には「受講証」を発行いたします。受講証は、現地参加された方には現地でお渡し、ライブ配信またはオンデマンド配信で参加された方には別途PDFでお送りする予定です。

第65回日本組織細胞化学会総会・学術集会 教育講演

10月26日(土)9:30~12:00  各演題50分(講演40分・質疑10分)

教育講演1 組織化学の基本となる固定の原理と応用上の諸問題

「組織細胞化学に於ける固定原理とその適性使用」
講師:小路武彦(長崎大学研究開発推進機構)
組織細胞標本上で様々な生体分子の局在を視覚化する組織細胞化学に於いて、物質をその場で不動化させる「固定」は必須な操作である。そこには人類が経験的に会得してきた食料等の保存法へ通じる原理がある。本講演では、様々な固定法の原理と一般的な使用上の留意点、及び特に免疫組織化学とRNAを対象としたin situ hybridizationでの固定法選択の基本戦略について議論したい。求める生体シグナルを最大限引き出すには「固定」の制御が必要なのである。
「Precision medicineを成功させるための組織固定最適化」
講師:宮崎龍彦(岐阜大学医学部附属病院病理部)
近年、病理組織検体を用いたPrecision medicineが患者の治療選択の上で極めて重要になってきている。これには、免疫組織化学、in situ hybridization, そして組織検体から抽出した核酸の解析が主な手法として挙げられる。これらの解析を成功させるためには、その入口として適切な組織の固定が求められる。本講演では、この問題に対する我々の取り組みを紹介するとともに、単純なようで難しい固定の問題をともに考察する時間としたい。
「人体材料の質の変化、変質/劣化」
講師:宮城洋平(神奈川県立がんセンター臨床研究所)
組織、臓器を対象とする組織細胞化学的な解析研究においては、解析対象が検体中で生体をどの程度反映した状態で存在しているか、保存されているか、は極めて重要な問題である。特に人体材料を解析対象とする場合にはこの問題が顕著であり、本講演では、検体として提供される人体材料の質の変化、変質/劣化、について紹介したい。

10月27日(日)9:30~11:10  各演題50分(講演40分・質疑10分)

教育講演2 組織化学から病理技術へ-臨床現場でのピットフォール

「分子病理診断に用いる組織化学—コントロールの意義」
講師:中西陽子(日本大学医学部 病態病理学系 腫瘍病理学分野)
免疫組織化学やin situ hybridization は、細胞個々の遺伝子異常や蛋白発現の状態を検出できる組織細胞化学技術である。近年、これらは基礎研究だけではなく、実臨床の場において、がんの病理診断から治療法決定に至るまで、非常に重要な役割を担っている。しかし、患者から採取された検体は、種々の解析に理想的ではない場合も多い。本講演では、臨床検体の特徴、擬陽性や偽陰性の問題を回避するための対照の重要性について解説する。
「パラフィンおよび凍結組織切片作製技術」
講師:〇森藤哲史(洛和会音羽病院 臨床検査部)、廣井禎之(順天堂大学医療科学部)
本講演では、パラフィンおよび凍結組織切片の作製技術を紹介する。組織切片の厚さは細胞の重なり、染色の濃淡など、組織所見に直接影響する。また、組織切片作製は、多くの工程によりなされている。各工程の解説と、組織標本・組織化学の基盤となる組織切片作製技術、切片作製に由来するアーチファクト等を解説する。