日本行動計量学会第52回大会
  • 日程 2024年9月10日(火)~13日(金)
  • 大阪経済大学大隅キャンパス
日本行動計量学会第52回大会
日本行動計量学会第52回大会

チュートリアルセミナー

対面・オンラインリアルタイム配信のハイブリッドで実施いたします。
※終了後、約2週間(9月17日(火)~30日(月)を予定)、講義録画をオンデマンドでご視聴可能です。

参加申込を締め切りました。 

テーマA(9月10日(火)12:30–15:30)

タイトル:
関係データ解析のためのノンパラメトリックベイズ法
講師:
上田 修功 先生 (理化学研究所 革新知能統合研究センター)
講師による概要説明:
関係データとは、それぞれのつながりからなるデータで、購買履歴の情報、SNSにおける友人の関係、さらには遺伝子発現データなど多方面におよぶ。関係データ解析の目的は、関係データからその背後にひそむ隠れた関係性を抽出することである。例えば、ネットショップサイトにおける各顧客がどのようなアイテムを購入したかの購買履歴データの場合、どのような人たちがどのようなアイテムを購入しているのか、すなわち、顧客とアイテムを同時にグループ化することに相当する。グループ化により、そのグループに属す顧客にそのグループに属すアイテムのなかで未購入のアイテムを推薦するなどの効率的なサービスが実現できる。この例では、技術的には、顧客とアイテムとの同時クラスタリングということになるが、クラスタ数の設定により当然結果が異なるという問題がある。ノンパラメトリックベイズは、このようなモデル構造に対する事前分布を与え、データに応じて適切なモデル構造(上記例では顧客とアイテムの各々のクラスタ数)を自動決定可能な方法論を与えるベイズ理論である。本講義では、ノンパラメトリックベイズの基礎理論と推論アルゴリズム、さらに、関係データへの応用について分かりやすく解説する。
スケジュール:
  • 前半講義「ノンパラメトリックベイズ法」
  • 後半講義「関係データ解析への応用」

テーマB(9月10日(火)16:00–19:00)

タイトル:
調査における質問と回答の科学
講師:
木村 邦博 先生(東北大学大学院文学研究科・文学部)
講師による概要説明:
調査における質問と回答の研究は1930年代頃にアメリカ合衆国で始まり、日本でもステレオタイプの影響やキャリーオーバー効果などに関する注意が調査法の教科書で取り上げられてきました。ただしこれらの注意は主に「経験と勘」によるものだったといえます。
これに対し1980年代になると、欧米を中心に「認知的視点から見た調査方法論」(Cognitive Aspects of Survey Methodology, CASM)にもとづく研究が行われるようになりました。これらの研究の特徴は、調査における誤差のメカニズムを科学的に解明し、その知識に即して調査設計を改善することでデータの質を高めようとする点にあります。
このチュートリアルではまずCASMおよび関連する他の研究動向(総調査誤差アプローチなど)について紹介し、測定誤差やsatisficingなどの基本的な考え方について議論を行います。その上で、実験的ウェブ調査による回答スタイル研究の実例を解説するとともに、今後の展望について討論を行います。
参加者の皆さんが調査票設計において直面する課題を解決しようとする際に、参考になれば幸いです。
スケジュール:
  • 前半講義「データの質の観点から見た測定誤差とsatisficing」
  • 後半講義「実験的ウェブ調査による回答スタイル研究の実際」

Link