第49回大会では以下のように特別講演「柳井レクチャー」を実施します。柳井レクチャーは、2013年に逝去された故柳井晴夫先生の、行動計量学に関するご業績および学会へのご貢献を顕彰するため2014年11月10日開催の理事会にて創設が決定されました。柳井レクチャーでは、故柳井晴夫先生のご業績に鑑み行動科学における計量的方法の理論と応用について、講演者を毎年1名選出し、大会時に1時間程度の特別講演を行っていただきます。
- 日 時:
- 2021年9月1日(水)16:40~17:40
- 会 場:
杏林大学 井の頭キャンパス F棟全面オンライン- 題 目:
- 多重対応分析の因子分析的使用 -社会調査データの記述的多変量解析-
- 講演者:
- 村上 隆 氏(中京大学文化科学研究所)
- 概 要:
- 多重対応分析は、長く社会調査データの探索的分析方法として確固たる地位を占めてきた。ただし今日では、多くの変数を含む量的社会調査の分析方法として、やや物足りない部分も意識される。本講演では、あらかじめ定義された正規直交な数量をカテゴリーに付与したうえで主成分分析を行うという試みについて、実データへの適用例を中心に説明したい。この方法は、多重対応分析と実質的に同じスコアを産み出す一方、解の回転とパターン行列の算出により、解釈の中心を空間表現から軸に移し、さらにbootstrap法による統計的推測も行う。この手続きにより、調査結果の全容を比較的早くつかむことができるだけでなく、近年急速に利用が増えている潜在変量に依拠した分析では見落とされる個人の反応スタイルの発見も可能になる。