- 日時:
- 2021年8月30日(月)
- テーマA:
- 12時30分~15時30分
- テーマB:
- 15時45分~18時45分
以下注意点を記載します。
- どちらか一方のみの参加も,両方参加することも可能です。
- 参加費の詳細は大会開催要項をご覧ください。
ハイブリッド方式(現地とオンライン)を予定していますが、新型コロナウィルスの感染状況に応じて、全面オンライン形式になる場合があります。両テーマとも定員は特に設けていませんが、現地会場の参加者数を把握するために、事前に「現地参加」か「オンライン参加」を確認させていただく場合があります。
- 緊急事態宣言の延長にともない、全面オンライン形式となります。
テーマA:
- タイトル:
- それ何測ってるの?―調査研究・理論と展開
- 講師:
- 清水 裕士 先生(関西学院大学社会学部)
小杉 考司 先生(専修大学人間科学部) - 概要:
- 人に関するデータを集める需要が増えたのか,あるいはコロナの功罪か,ウェブを介した調査や実験が簡単に実践できる土壌が広がっている。
郵送調査やRDDなどの苦労をしなくとも,クラウドで回答者を募集し,欠損値や転記ミスを気にする必要のないデータが簡単に手に入る時代が来た。要らぬ苦労はしなくとも良いが,さてしかし,調査ってこんなにチョロくていいのかしら。
心理学はかつて大学生心理学と揶揄されることもあったが,それでも何を測っているのかについては態度理論という理論的裏付けを持っていた。
こうした理論的支柱なき調査実践は,一体何を測っているのだろうか。信頼性や妥当性が大事だとは言われるけれども,そもそも「目盛りに丸をつける行動」「最も当てはまる選択肢をクリックする行動」は人の何を測ったことになるのだろうか。
慣例的な方法は,表層的な実践事例の情報でしかなく,応用や更なる活用には根本原理の理解が必要である。
ここでは心理測定の中で考えられてきた,測定の理論,モデル,妥当性,についての基礎的な知識を改めて確認し,モデリングの技術を用いてより相応しい尺度化についての展望を議論します。
テーマB:
- タイトル:
- 私ならこう教える!そしてこう学び直す!―統計教育の根本問題
- 講師:
- 小杉 考司 先生(専修大学人間科学部)
清水 裕士 先生(関西学院大学社会学部) - 概要:
- 機械学習やベイズモデリングなど,新しい手法が次々生まれてくる昨今は,統計と一言で言っても学ぶべきこと・教えるべきことは非常に多岐にわたるようになっている。
数学的基礎を考えるのであれば線形代数は避けては通れないし,線形モデルに限定しても一般化線形モデルから階層ベイズモデリングへと先はどこまでも広がっていく。
より実践的なデータサイエンティストを目指すのであれば,コンピュータ言語や実行環境などの動向も視野に入れておかなければならない。
例えば心理学における統計の利用といった,限定的ユーザーであるとしても,記述統計量と分散分析だけでひとまずやっていけるという時代でないことは誰の目にも明らかである。
学ぶべきことが多いのは統計モデルの発展だけではない。
心理学の領域では公認心理師という国家資格を得るために必要な様々なカリキュラムが作られ,学ぶ側としては非常に多岐にわたる知識を取り込む必要があり,教育する側も時間の制約の中で対応を迫られる。いわば食べ放題バイキングの料理の種類の数が増え,短い制限時間のなかで,しっかりと楽しむための戦略を練る必要がある。
何のために何を選びどこまで取り込めば良いのか。
話題提供者の二人は,社会心理学という統計学でも実験や臨床など心理学の中心でもないところで生まれ育ったという意味で,新参者・異端者であるかもしれないが,それぞれの観点から見た心理統計教育の根本問題について,思うところをお伝えします。