一般社団法人 日本LD学会 日本LD学会 第34回大会
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会長挨拶

一般社団法人日本LD学会第34回大会の開催にあたって

一人ひとり自分の学び方との出会いがそこにある
-好奇心が伸びていく-

第34回大会会長
星槎大学大学院 教育実践研究科
阿部 利彦

第34回大会会長 阿部 利彦 写真

 第34回大会のテーマは、「一人ひとり自分の学び方との出会いがそこにある」です。

 読むこと、書くことなどに困難さがある子どもたちは、学校で私たちの想像以上のしんどさを日々感じているのではないでしょうか?「定型発達を想定した学習方法を求められること」がそのしんどさの一因ではないか、と私は考えています。たとえば、板書をノートにきちんと写すことを当たり前のように求められているクラスがあります。「書く」と「考える」を同時に行うことが難しい子どもの場合、黒板を写す作業だけで精一杯で、自分の考えをまとめたり、友達の意見と比較したり、自分の気づきを深めたりする時間を持つことができずに授業が終わる、ということが起こります。板書をきちんと写すよりも、自分の考えを深め、友達の意見から新しい発見をする、そういう時間を過ごしてほしいと願います。

 では、そんな子どもたちには最初から「あなたは書かなくていいよ」と伝えればよいのでしょうか? しかし、中には「時間はかかってしまうけれど、書いていくと自分の考えが整理されるのです」という子どももいます。ノートに書く、書かずに考えを深める、ICTを活用する、などの方法のどれを選択するかは子どもたちが決めるべきことであり、そこに「自分の学び方との出会い」があるのです。

 また、「自分にはこの学び方が合うはず」と思ったけれど「やってみたらうまくいかなかった」という体験も、選択の失敗ではなく「自分の学び方との出会い」への一歩です。「自分の学び方との出会い」は、学びを通じた「自己理解」なのです。自己理解の深まりは、自分に必要な支援をつかむチャンスにもなります。

 「好きをとことん、楽しいをとことん」。子どもたちが好奇心を思い思いの方向に伸ばし、楽しみながら自分の学び方と出会えるように、私たちにできることはどんなことでしょうか。本大会では参加される皆様も楽しみながら学びあえる多様なプログラムを準備しています。共に語り合いましょう。お待ちしております。